元親が作家で元就が編集者だったら




「結婚しよう」

「……私なんかでいいの?だって、私は卑屈だし美人でもないしあなたに優しくも癒やしてあげることもできないし、世間にはもっとあなたにふさわしい人がいるはずよ。」
そうして、彼女は泣き出しそうな声でつぶやいた。

「そんなことないよ」
君が嫌う君だって僕は好きだよ。震える君の肩を心の底から愛しいとさえ思っているのに。
もちろんそんなこと、恥ずかしくて言えやしないけど。

僕は彼女の肩に顔をうずめて抱きつく。柔らかなお日さまのような匂いがした。

「ねえ、僕の好きな人を悪く言わないで。」

これからずっと、君の隣にいたいんだ。





「…………。」
「今回のは力作だぜ!」
「相も変わらず気色の悪いものを書いているのかこの筋肉単細胞男」
その部屋には満足そうにデスクトップを見せる男と、それを見つめ不機嫌に体を震えさせる男がいた。
前者は長宗我部元親という作家であり分野を恋愛に置くオトメンである。
そして後者に彼の編集である毛利は眉間にしわを寄せつつ原稿を突き返す。
「その無駄にでかい図体のように頭の悪い児童向けでも書いていればいいものを」
「おい今なんつった」
「良いからさっさと仕上げろ俗物」
「……へいへい、すみませんね」

元親は絵空事のような恋愛話をよく書くがその内容は確かに明朗であり、純粋で、美しい。
しかし想像してほしい。日本人平均身長をゆうに超えたガテン系あんちゃんが乙女が憧れる恋愛を書いているのだ。
奥付には顔を出すなと契約にも書いてあるらしい。ファンの夢を壊すなという編集なりの不器用な優しさだ。





元親と元就の場合、冒頭はこうなります。
というか兄貴って砂糖菓子みたいな恋愛好きそう。


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