にくついた@




(アンタ最近……)

猿飛佐助は走っていた。何から逃げているというわけでもないが。強いていうなら現実から逃げている。
住宅街を走り抜け商店街を横切り駅前を北口から入り南口から出てまた住宅街を走り、気づけば人気のない公園にいた。
外灯に暗く照らされた鉄棒に寄りかかり数十分前に言われたあの一言を思い出す。

「アンタ最近太っただろ」
残酷な一言を放ったのは彼の恋人だった。恋人の家でごろごろDVD観賞をしていた佐助にもたれながら腰を撫でていたが、数分もすると険しい顔つきになり腰回りをわし掴む。
「…………何?」
「ちょっと体重計ってこい」
困惑する佐助を引っ張って恋人は下に続く階段を降りさせた。
佐助は身長のわりに細身であり肉が付きにくい体質だと知っている。どうせ伊達ちゃんの勘違いだと苦笑しながら体重計の上に屈んだ。
「えーっと、ごじゅう……」


え、なにこれ。

叩き出された数値を隠す。覗く。デジタルな数字は変わらない。

「いやいやちょっと待てよ確かに最近マックとか行き過ぎてたかもしれないけどこんなに増えるわけないって、大体いつもそんなに食べてないんだから、ほら俺様少食じゃない、たまに人並みいやそれ以上だったかもしれないけどそれくらい食べたからってこんなに増えるわけないし……あ!財布とベルトしてるからじゃん、なーんだ!小銭いっぱいだし、うん別に体重変わってないよね、どれどれ………………………………」

気づいたら佐助は走っていた。そして冒頭に戻るのである。
荷物を何もかも置いて足元は裸足ではないものの見覚えのない突っ掛けだった。

「誰のだ、これ」




私の勝手な草食系のイメージ。
体重とか女の子みたいに気にしていそうだわ。

ちなみに続きます。





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