Hurry Hurry UP!
半政
君の後姿に今でも追いすがっている僕は酷く滑稽でしょうか。答えなんていらないのに、何故いつまでもこんなことを考えてしまうんだろう。
女々しい、と吐き捨てるように呟いた。
君は僕がいなくても一人でしゃんと胸を張れる。僕は違う。
君は僕がいなくてもずっと前を向いていける。僕は違う。
君は僕がいなくても、僕がいなくなったところで君は何も変わらない。僕は違う。
そんなのわかってる。それでも、それでも離れたくはないなんて。
なんて情けない。自身の子供みたいな欲求に思わず笑いがこみ上げる。こんな姿、秀吉はもちろん、君にも見せられない。
「僕は、なんて馬鹿なんだ」
あまりにも無様で、みじめだ。
顔に手をあて空を仰ぐ。
今孔明なんて呼ばれていても一番大切な時には何も見い出してくれないこの頭。なにが今孔明だ。こんな頭、何の役にも立たないのに。
君の隣に立つ方法はいくらでもあるけれど、僕の隣に立つ君はどうしても笑ってはくれない。
君を笑わせる方法を僕は知らない。
お願いだから、置いていかないで。
思わずこぼれた、君を引き止めるにはあまりにも拙い言葉。
君の背中に手が届く間に名案よ、早く浮かべ!
(Hurry Hurry UP!)
◇
知らぬ顔の半兵衛が有名な半兵衛さん。
しかし死後、今孔明とも呼ばれていたそうです。
こんぺいとう的な発音でいいのかしら。
話の中でなぜ本人が普通に使っているのかとか考えてはいけない。