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ガールズトーク

ガールズトーク(笑)

伊達→ムネ子
猿飛→サス子
真田→ユキ子
でお送りします。
女子というより男共の悪ふざけに見えてくる不思議。




「ねえムネちゃん」
「なによサス子」
グラウンドの砂の上で膝を抱えて座る女子二人がいた。
風が強く髪がばさばさと乱れさせるのも彼女らを苛立たせる要因だがそれ以上に不愉快にさせることがあった。
「なんでうちのクラスってみんな胸でかいの」
「知らない」
「なんでわたしたちは胸ないの」
「知らない」
思わず強く膝を曲げるがそれでも自身の雌たる象徴が感じられなかった。
「チカ子もオクラ子もミツ子もハン子も少し前までわたしらと一緒だったじゃない」
木陰で授業を眺める彼女らを覗き見る。ため息をついた。立派に実ってるんじゃないわよ、もう。
「サス子」
「なあに」
「アンタは裏切らないわよね」
「ムネちゃんもね」
そうして二人は顔を見合わせうふふあははと笑い出す。でも目線は互いの胸元。
「…………はあ」
「こんなこと体育館でやればいいのにい」
ボールが右往左往に投げられる。教師の気まぐれでドッジボールなんて懐かしいことをしていた。
「男子使ってるんだからしょうがないでしょ」
ムネ子はつまらなさそうに髪をいじる。毛先切らなきゃ。

「……ユキ子って元気」
味方からパスをもらったユキ子が敵陣に部活仕込みの豪速球を投げつけた。彼女はハンドボール部のエースピッチャー。女子達は狭い陣地を逃げ回る。揺れる胸。胸が揺れるばいんぽよんぶるん揺れ回る中で一際目立つユキ子の乳。
「…………」
「…………」
ぺたり、触る。両手を胸に当てる。
「裏切られた」
「なによなんなのあのアメリカサイズな乳」
体操着にくっきり映し出される女性らしいフォルム。制服ならまだしも今の姿で隣に立ってほしくない。絶対的な差の前に人は泣いてしまうのだ。
「乳って牛乳飲んだらいいとか昔言われてたじゃない」
サス子がぽつりと呟く。
「言われてた」
「わたし身長しか伸びなかった」
「……なによわたしに胸も身長もないからって馬鹿にしてんのアンタ」
「そんなこと言ってないよムネちゃん」
ムネ子の少し低い肩に寄りかかる。泣いてなんかいない。泣いてなんかいないんだ。
「ちくしょうおっぱい爆発しろ」
「落ち着いてムネちゃん、乳なんてなくたって生きてはいけるのよ、生きては……」
「サス子泣かないで。みじめになる」

ホイッスルの音がなった。試合終了、交代の時間だ。

「ムネ子、サス子、交代ですよ」
ばいんぶるんぼよん。三つのボールを抱えたユキ子が近づいてきた。憎らしいことに二つは自前だ。

「……ユキ子、そのボールちょうだい」
「ムネちゃん落ち着いてお願いだから落ち着いて」
「?」





伊達→中肉中背ひんぬう
猿飛→ガリガリのっぽひんぬう
真田→ちびっこウシ乳ばいんぼいん

正直、すまんかった。








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