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ぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ。

学パロで朝の風景。
佐助と政宗。ぷらす寄り











ぴぴぴぴ。ぴぴぴぴ。単調なリズムがつんざくように聞こえる。うるさい。あまりのうるささに佐助は枕元に手を伸ばして目覚ましを止めようとした。しかしなかなか見つからない。仕方なく観念したように佐助は目を開いた。
「うっせ…」
布団から顔を出す。いきなり溢れる眩しさに目をしぱしぱさせるが布団の中で体を反転させて今度こそ目覚ましを止めた。時間を確認する。
「………………え?」
もう一度時間を確認しようと顔の前に佐助が時計を掲げる。それと同時に隣の部屋から悲鳴が聞こえた。どうやら二人そろって寝坊したらしい。

急に隣の部屋は騒がしくなり、ドタドタ慌てふためく音が聞こえてきた。そして間髪入れずに佐助の部屋の扉が開く。
「佐助!get up(起きろ)!遅刻する遅刻遅刻遅刻!」
慌ただしく制服に着替えながら政宗が叫んだ。時計を掲げたまま固まっていた佐助もその音に我にかえる。
「ごめん、今起きた!」
ベッドから跳ね上がるように起き、その辺に投げ捨てておいたズボンとシャツに手を伸ばす。この際昨日のものでも着れればいいのだ。椅子にかけてあった上着を掴んで急ぎ部屋を出た。政宗はネクタイを結びながら先に階段を下りている。佐助もそれを追った。
階段を下りるというよりはもはや転げ落ちるように通過して、佐助は昨日から廊下に放置してあった鞄を拾いあげて玄関を飛び出す。

「うっわもう最悪だマジで時間ない!」
これじゃあ旦那のこと笑えない!大声で叫び散らしながら佐助は走った。ちなみに佐助の足で大体十分ほど走れば校門は見えるのだが、全速力で、しかも信号に一度も止められない場合でないと無理である。しかし朝のHRの時間まではもう時間がないのだ。無理でもやるしかないのである。

「佐助!」
自転車に乗った政宗が後ろからやってきた。速度を軽く落とし佐助の隣に並ぶ。
「お前昼給食あるから朝我慢出来るよな!」
「大丈夫大丈夫!」
気にしないでいいからはやく学校行って。佐助が荒い呼吸で叫ぶと政宗は頷いた。そして徐々に速度を上げていき段々と姿が小さくなる。しかし、
「信号無視して轢かれんじゃねえぞ!」
気分悪くなったら保健室行けよ!辛くなったら途中で帰ってきてもいいからな!などと延々と叫び続けている声だけは姿が見えなくなってもしばらく聞こえていた。
「うるせえ、はやく行け!」
この馬鹿兄貴が。聞こえるかどうかは微妙な距離だが恥ずかしさのあまりなりふり構わず声の方向へと吐き捨てる。
ああもう、過保護なんだよあの人!一部始終を見ていた通行人はいつもの風景に軽い笑みを佐助に向けた。

そして普段は弟目から見ても恰好良い人なのにどうしてたまにこんなのになるのかと佐助は首を捻るのである。






佐助(弟)と政宗(兄)の組み合わせ。

伊達さんは自分より下の子にはなんか面倒見がよさそうだ。







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