べたべたくっついちゃって
私だって嫉妬ぐらいするわけですよ。
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私は帝光中学のマネージャーであり、黒子くんの彼女であったりする。
そしてそれを知っているのか知らないかわからないが黒子くんにいつもアタックしているのが桃井さつき。
かわいいし、マネージャー業だって素晴らしいし完璧だしむしろ黒子くんは桃井さんと付き合わずなぜ私と付き合ったのか不思議なくらいだ。
アタックしているから彼女が嫌いというわけではないし、むしろ尊敬しているけど
(…見てるともやもやする)
たぶん嫉妬というやつなのだろう。
マネージャーである以上なるべく部活では恋とかそういうものでは浮かれないようにしているつもりだ。
それがだめなのか桃井さんの黒子くんへのアピールはすごいというかなんというか。
「…はー」
小さくため息を吐く。
「お前妬かねえわけ?」
突然聞こえた声に振り向くといつの間にかいた青峰くん。
「突然何いうのかとおもったら…」
「だってよーさつきあんだけアピールしてんだぜ?」
「……でも彼女は私だし」
なかなか痛いとこをついてくる。
青峰くんはそんなつもりないだろうが気にしていたことを言う当てられた気分だ。
「さつきはたぶん知っててやってるとおもうぞ」
「知ってますー」
けらけらと笑った彼になんだかむかついた。
「青峰くんは黒子くんとさつきさんを応援してるわけ?嫌味?やだー」
「別にそんなんじゃねえって、お前さつきがあんだけくっついても嫌そうな態度とったりしねえから気になっただけだ」
「…ふーん」
なるほど外面はうまく我慢できているように見えるんだ。
「…私だって嫉妬しないわけじゃないのに」
小さくぽつりとつぶやく。
「あ?なんか言ったか?」
「もーいいよー青峰君は…デリカシーないよねえ」
そう言ってわざとため息をつく。
「んだと失礼なやつだな」
そういうやいなや頭をがしがしとなでてくる。
いや撫でてるんじゃない、ぐちゃぐちゃだ。
「頭ぐしゃぐしゃだよもうしかも汗かいてるじゃんやめてー!」
「うるせえ俺に失礼なこと言った罰だ」
「デリカシーの意味もわかんないアホ峰のくせに…!」
「誰がアホ峰だゴルァ」
結局部活では青峰くんと話して黒子くんと話せなかったけど、少しもやもやはとれたからそこは彼に感謝だ。
*
「はー疲れた…」
部活が終わり帰る準備をする、今日は青峰くんのせいでいつもより疲れた。
「…荷物教室においてきちゃったな」
思い出して肩をおとす。
疲れてる上にさらに疲れることを自分で追加してしまうなんて。
「名前さん」
「わっ!!」
突然現れた黒子くん。
この登場の仕方はいつまでたってもなれない。
「ど、どうしたの?」
「今日一緒に帰りませんか」
「うん…!あ、でも荷物教室だからここで待っててくれる?」
「そうなんですか、なら僕も一緒にいきます」
「そう?ありがとう」
平然を装うが心の中は嬉しくてどうしようもなかった。
黒子くんからこうして誘ってくれるなんて嬉しすぎる。
「じゃあ行きましょうか」
「う、うん」
少し薄暗い学校の廊下に足音が響く。
2人で歩いているとはいえそんなに会話があるわけじゃない。
でもこうして2人で歩いているだけで幸せだった。
(…どんだけ黒子くんのこと好きなの)
自分で思ってなんだか恥ずかしくなる。
「名前さん」
「はい!」
名前をよばれて思わず返事をする。
「今日青峰くんと何話してたんですか?」
「あ、青峰君…?」
「はい」
「…え、えと」
聞かれて思わず口ごもる。
まさか黒子くんのことを話してたなんて恥ずかしくて言えない。
「…そんな大したこと話してないよ」
「僕には話してくれないんですか?」
「そ、そういうわけじゃないんだけど…」
じっと見つめられ目線をそらす。
こんなこと黒子くんは言ってくることなんてないのにどうしたのだろう。
「…正直妬きました」
「え…?」
黒子くんのその言葉に思わず自分の耳を疑う。
黒子くんが妬く…?
「名前さん僕と部活ではあんまり話してくれませんよね、青峰くんとはあんなに仲よさそうなのに」
「あれは別に仲よさそうにみえても…そうじゃないよ」
「でも頭撫でられてました」
「ぐしゃぐしゃにされただけだよ」
「…それでもなんか嫌です」
そう言うと一歩こちらへ踏み出す黒子君。
「名前さんは僕の彼女なのに…」
その言葉に顔が赤くなるのを感じた。
こんなにストレートに伝えてくる黒子くんはほんとに珍しい。
「…でも黒子くんだって桃井さんと」
思わず言ってしまった。
言ってしまった後に思わず口をおさえる。
「ご、ごめん!なんでもない!」
桃井さんはマネージャーだし、黒子くんにとってはなんでもないかもしれない。
そんなことで言ってしまったら迷惑がられるだろうか。
「桃井さんが何ですか?」
「な、何でもないです!」
そう言って逃げるように歩き出そうとしたとき腕を掴まれる。
黒子くんは意外と力が強くて振りほどけなかった。
「名前さん、ちゃんと言ってほしいです」
「……っ」
まわりは薄暗いし黒子くんの顔はよく見えない。
「私も………その……妬きもち……」
そこまで言ってちらりと黒子くんの顔を見ると優しい顔で微笑んでいた。
「嬉しいです、僕と同じですね」
黒子くんも妬いてくれてたんだ。
そう思うだけでなんだか嬉しくて
「もう暗くなってきましたし、急ぎましょうか」
「…うん!」
そう言って繋がれた手に心臓がうるさくなった。
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