新しい場所で女子高生になる学校生活に多少の不安もありつつどきどきしながら入学式を迎えるはずだった、 ちょっと待ってよ、私あんたがいないと思ってこの高校にきたのにさあなんでまた一緒になっちゃうわけなんなのよもう。レベル高いから頑張って勉強もして遊ぶ時間もへらしてここまで私は努力をしてきたのにさあ、どうして 「また一緒だな!名前!」 「…どうしてここにしたの和成」 ほんとにどうしてあんたここにいるわけ。 ちっさいときからずっと一緒でそろそろ離れてもいいころかなーとか特に深い理由はないけれど和成が選ばないであろう場所を選んだつもりだったのに。腐れ縁とはどこまでもひっついてくるのか恐ろしい。 「どうしてって、お前こそなんでここなんだよ?」 「…なんとなくだけど」 「そっか、俺もなんとなく」 にこりと笑う彼にクラス分けが張り出された掲示板をながめながら 「……好きな人と一緒になれたの?」 「へ?」 「…クラス」 中学の頃からしょっちゅう相談してきたりかわいいとかいろいろその日のことを聞かされたものである。だが和成は一切好きな人の名前を言おうとはせず、同じ高校になれるかもわからないなんて言っていた。ここにいるかはわからないれど和成と同じクラスにあの子はなれたんだろうか。ていうかここまできたなら名前ぐらい相談に乗っていた私に教えてくれもいいじゃないか。 「まだみてねーんだよな、名前何組よ?」 「んー…3だ」 人ごみでなかなか見えなかったけれどやっと自分の番号を見つけることができたのでそれを伝えると何故か和成が笑いだした。 「なんなのよ」 何がおかしかったのかわからないけど笑われるとあんまり良い気持ちはしない。 「くく…っいやー良かったなあって、俺も3組なんだよね。そんで好きな子も3組」 「へえ…」 もしかするとやっと和成が好きな子がわかるのかと思うと少しわくわくしたけれど、それと同時に少しもやっとする気持ち。 「あれ、嬉しくないの?俺すんげー嬉しいんだけど」 「もうずっと一緒だし少しぐらい離れた生活もしたかったなあって」 「もーそんなこというなよー、……あのさ、気づかないの?」 「何が?」 和成が少しばかし気まずそうに尋ねてきたので何かついてるだろうかと思ったけれど何もない、もしかしてタイツに穴があいてるだろうかと思ったけれどそうでもない。何に気付かないというのだろう。 「…俺も3組、でお前も3組」 「うん」 「好きな子も3組」 「…うん、で……?」 3人そろうと何かまずいのかな、と思って首を傾げる。 「俺の好きな子名前なんだけど?」 「………エイプリルフールもうすぎたんだけど」 「嘘じゃねえんだけど」 和成って私のこと好きだったんだと考えたとたんに頭が急に沸騰するような熱があがってくる。え、どうしよう。この場合私はなんて返事を返せばいいんだろう。 「……俺がいっつも相談してもお前興味なさそうだしあんま期待してなくてここまでずるずるきたわけなんだけどさあ」 高尾が一歩近づいて目線を合わせてにっと笑った 「少しは期待できるってこと?」 顔が真っ赤な自分の顔がさらに赤くなったような気がする、ここじゃなくても良かったのに、人がみてるとこでしかも今までずっとかくしてきた癖に。 「…いや、だって和成……っその、」 「俺が好きな子いるって言ったときどう思った?」 どう思ったか、そう聞かれて思い出せば和成に初めて言われた時何故か現実味がなくて、でもそれから楽しそうに話す和成を見るたびにどこかもやもやしたようなそんな気持ちだったような気がする。 それでも話しを聞いてアドバイスしてあげれば「いいやつだな」って和成が笑ってくれたから 「……嫌、だったのかな」 「それって俺のこと好きってことでいいんじゃねえの?」 「………そうなのかな」 思えば無意識に離れたいと思ったのは和成がほかの子と笑う、そんな姿をみたくなかったからかもしれない。 「んー…その答え俺的には困っちゃうんだけどまあいいや、これまでの地道な努力は実ったってわけだな。俺頑張った頑張った」 昔から一緒にいたため自分でも彼女に恋愛対象にみられていないんだろうなあという感じは薄々感じていたし恋愛というものに興味がなさそうな彼女にどうすれば振り向いてもらえるのかも一生懸命考えた。変な男はよせつけないようにして、地道にアピールしてきた。それに好きな人までいるなんて嘘をついて嫉妬させてみようとか考えてやってきたわけだけど見事俺の勝利らしい。まだ正確には彼女から答えをもらっていないけれどここはまあ頑張るしかない。 「…楽しくなりそうだなあ」 これから始まる新しい生活を彼女と一緒に過ごせるのならきっと楽しくなる。無意識に緩む口元を押さえて彼女の手をひく。 「俺ってほんとついてるよな、好きだぜ名前」 これから本当に俺に惚れさせてやるから覚悟しておいてほしい。 |