仕事が忙しくてなかなか会えることのできない彼と久しぶりに会えるということではりきって、アップルパイも作ったし、服だってこの日のために買って、前日は楽しみでずっとわくわくしてて、なのに、これは





「ひなつ君に彼女がいただなんて…!!」

「…えと、あの……」

誰なのだろう、目の前にいる髪型がユニークというか個性的な白衣を着た目の前の男性は。
私は確かひなつ君に会いに来たはずで、インターフォンを鳴らして出てくると思ったひなつ君はいなくて、さっきから何度も考えているけどどういうことなんだろう。

「あの…ここ、ひなつ君の家じゃ」

「そうだよ!!?それが何!!君は何!!?」

涙を流しながらものすごい顔で見てくる相手の男の人に若干たじろぐが余計なことを言ってもさらに逆なでしそうで怖い。

「私が部屋間違えたのかもしれません…それじゃ…」

見なかったことにして帰ろうと思ったのだが肩をがしりと掴まれた。


「ちょっと待った」

「何でしょうか…」

近くで見ると外人さんだからか顔は整ってるし綺麗な人だったのだが、なんせ頭が気になって仕方ない。


「ふむふむ…ほぅ…なるほど…」

じろじろとすみずみまで見つめられこちらとしてはあまり良い気持ちはしない、それに何かぶつぶつと唱えているようで怖い。


「さすが……」

にやりと目を細め先程とは少し違う雰囲気に背筋が冷たくなる。





「何やってんだ!!」

こちらに向かって当初私が求めていた声が聞こえてきた。
ひなつ君だ、肩が上下していて慌てて走ってきたことが分かる。

「人んちで何やってんだ、出ていけ変態。ごめんな名前、少しマネージャーと話してたんだ。連絡入れたはずなんだけどさ」

「ご、ごめんね気付かなかった…!!」

慌てて携帯を取り出すと確かに着信があったことが記されている。


「ひなつ君ひどいじゃないか!!僕に言わずに彼女だなんて…!僕とのことは「黙れ。」

「あの…ひなつ君この人…」

「ただの隣に引っ越してきたやつだ」

そう言うと白衣の襟をつかみ玄関から引っ張り出す。


「名前入って待っててくれるか?ちょっとこいつに話しがあるんだ」

にっこり笑ってひなつ君がそう言ったので頷いておとなしく入ろうとしたとき「ちょっとまったあああああ」


「君!!僕の研究につきあってくれないか!!」

たぶん私のことなんだろう、きらきとした瞳でこちらを見つめている。研究と聞いて白衣を着ているわけと結びついた。

「ひなつ君の彼女っていうからどんな子かとおもったんだけどね、なるほど結構なレベルに値するじゃないか」

「名前を観察しようだとかそんなんなら止めろ」

「最高のハイクラスAIを作るにはやっぱりその周りも知っていかなくちゃってね」



「……こいつは俺のだ手を出すことは許さない」

ひなつ君が隠すように前に立ってくれて、それに普段あまり言ってくれることのないセリフに頬が熱くなる。

「ひなつ君にそこまで言わせるなんてねえ?ますます気になったよ!!」

「帰れ」


「僕がそう簡単にうなずくとでも!!?」

「そうか…残念だな名前会えるのもうずっと久ぶりで…ましてや2人きりですごすのなんてずっとなかったのにな…」


急にしおらしく私の手を握り締めるひなつ君に困惑したが何かあるんだろうと思い「そうだね…」とあわせる。


「……ぼ、僕ってば…ごめんね!」

すると先程まで頑として譲らなかったハカセが自分の家へすぐさま戻っていった。


「…ちょろいな」

「おもしろいねあの人」

「今度から、気をつけろよ来るときお前に何かあったら俺あいつを」

「心配性だねひなつ君、ありがとう」

そう言って笑うと彼の顔が徐々に赤くなっていく、それがまたかわいいなんて思う。

「…い、いいからアップルパイやいてきてくれたんだろ?」

「うん、一緒に食べよ」


変な隣人さんに会って、ひなつ君が楽しそうでなによりだった。



「外人さんだからもしかしてゲイなの?」

「…さあ」



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