だるいし疲れたしもう学校に行きたくない。友達と喧嘩をした、もう女なんて人間関係にうんざりだ。どうしてこちらが気を使わなきゃいけないのか。
いきなり無視されて理由がわからないし意味がわからない。頑張って話しかけてみたって効果はなし。
もう疲れた、ここまでくるとどうでもいい。





「………」



机に突っ伏して小さくため息を吐く。よくわからないけど最近良く疲れる。
体が疲れるわけじゃない、なんだか精神的に疲れるのだ。




がらりと教室のドアがあいて足音が近づいてくる。




「どーしたよ?」

そんな時いつもそばにいて声をかけてくれるのは高尾で、小さいころからずっとそうだった。


「疲れた、友達と喧嘩した。もうめんどくさいよ」

「おーそっかそっかーま、無理することねーんじゃねえの?」

「無理してないよ、疲れたの」

無理なんかしてない、はずだ。
私が悪いのかあちらが悪いのか理由なんてわからない。いきなり無視されてどうしようもなくなってしまったのだ。


「…私何かしたのかなあ、思いつくことなんてないんだけど」

「相手と名前が思ってるのじゃ違うからな人の心なんて読めねえし」

「そりゃあそうだけど…」

「無理して笑ってんのばればれだからな」

鋭いところをつかれて黙りこむ。


「高尾は何でもわかっちゃうんだねすごい」

「すごいじゃねーよ昔から一番見てきた俺にわかんねーわけねーだろ」

と言ってほっぺたをつねられる。

「無視して笑って、気を使って、それでもあっちがそういう態度とるんなら何もお前が頑張る必要なんてねーじゃん?」

「………」

じわりと徐々に視界がにじんでくる。


「お前が頑張ってるの誰も気づかなくたって俺は見てるしわかってんだかんな」

「たかお……」

誰よりも傍にいて昔から一番近くにいた、悲しい時辛い時いつも欲しい言葉をくれるのは彼で。


「だから笑うなよ、な?」

その言葉に涙があふれる。笑うなよなんて言われたのはじめてだけど何故かその言葉が胸にしっくりときて


「ありがとう…」

「よしよーし」


そういつつ頭を撫でてくれる高尾にいつも助けてもらってばっかりだ。




「ほんとは嫌なことだってたくさんあるけどそれが言えなくて、笑ってごまかして、逃げて、でもそれじゃだめだった、全然私だめだった…」




「人のために頑張りすぎちゃうのもお前の良いとこじゃねーの?」

「……」

「それが今回はちょっといきすぎちまっただけだ、少しは思ってることいってみ?きっと相手だって待ってるかもしんねーだろ?」

「……うんっ」

「そいでまただめだったら俺がこうしてまた慰めてやるからさ」

ぽろぽろと涙がやまない、ほんとはもう泣きやみたいのに涙は止まらない。





「お前の頑張りは俺がずっと見ててやっから、何事もチャレンジっていうだろそういうことだ」

にっと笑う彼の笑顔にどこか安心した、失敗してもまた彼がこうしてくれるなら頑張ってみるのもありかもしれない。






「人間関係なんて面倒事がついてなんぼだからな、俺のパートナーだってツンデレでちょっとめんどくせえんだぜ?」

「そう…なの…?」




「でも、それ以上にあいつとバスケしてると楽しいからさ。ツンデレだってちょっと見慣れてくると面白いもんだし面倒なこともあっけどそれ以上にパートナーだからな」





高尾のほうこそいつも笑顔を絶やさず無理してないだろうかと少し思う時がある。けどそれはきっと彼の素なんだろう、ほんとかどうかは私にだってわからないけど。




「それを乗り越えたらきっとまた楽しいと思うからもうちょっとだけ頑張ってみようぜ?名前ならできるはずだぜ」

「うん……頑張る」


「ははえらいじゃねーの」

そう言ってぐしゃぐしゃと頭をなでる。

「んじゃま、俺は今日もそのパートナーと部活だからな」

「え…あ…うん」


「寂しかったら電話でも何でもよこせよ?」

もういってしまうのかと思った心を見透かしたように笑って背を向けた。

彼にはほんとに感謝しなければならない、いつだって助けてくれて。
そして一番私の頑張りを見ててくれる人だ。




ありがとう





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