「や、やめよう高尾君…!!」




「だーいじょうぶだって!これなんて嘘くさくねえ?」

夏の夜ということでたまたま入っていたホラー番組をソファに座り2人で見ている。
横に座る彼の方は全然怖くないようで笑ったりしている。

「大体どこがこえーのよ?所詮おばけなんていないもんだぜ」

「所詮なんてばかにしたら高尾君のとこにくるよ」

「俺霊感ねーから見えねーよ」

霊感があっても取りつかれたら大変だろうと言おうとしたがやめてリモコンを手に取る。



「とりあえずチャンネルかえよ?」

「もうやめんのかよーこれ以外つまんねえしもうちょっと、な?」

といってリモコンを取り上げられる。





「…やめようよ」

「いいじゃねーか名前が怖がってんの可愛くて俺見るの好きだぜ」

「そんなこと言ってもダメだから…!」

何気ない一言に照れるが画面から聞こえる悲鳴やらでムードも何もあったもんじゃない。






「おばけが名前をおそったら助けてやるよ」



「できないよ…そのまま死ぬ」

「人がせっかくかっこいいこと言ったのにひでぇ!」

確かに助けてもらえるなんて嬉しいけど、さっきも今もからかってるようにしか聞こえない。




「本気だぜ?」

「…うそ」






「好きなやつのためなら俺なんだってこわくねーから」

少し声が低くなり真面目なトーンで話す高尾君。



そんなのそんなの




「…ずるいじゃない」


「好きなやつ1人守れないでどーすんの」

「なんでこんな時が告白のタイミングなの…」

ホラー番組なんてさっきも思ったけどムードのかけらもない。
それでも好きな人に言われると嬉しい、思わず頬がゆるむ。


「俺だって今までずっと悩んできていつ言おうかなーと思ったけどホラーだしこれよりこわいものなんてねえし振られても傷つかないように?」

「なんか怖いの意味違わない?」

「いいんだよ、ま、確かにホラーみながらなんてちょっと雰囲気があれだけど」





「好きだぜ」



1呼吸置いてからゆっくりとそう言った。




「…私も」













ホラーよりびびる彼女がかわいくてそっちにばかり目が行くなんて



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