「七夕だよ祐希くん」
「そうですね」
「どうしてこんな日までアニメ―ジャ見てるの」
「別にいいじゃないですか読みたいんだもん」
さっきからずっとこれだ。
外で一緒に星を見ようと誘っているのに動く気配がない。
「…悠太君は」
「さあ?どっかに行った」
私が来ると思って気を使ってくれたのだろうか、さすができるお兄さんだ。
「せっかく祐希君と七夕に2人でいるのに…」
ポソリと呟くとゆっくり立ち上がった祐希君。
「…しょうがないなあ名前は、行くんでしょ?」
そう言って手をひいて歩いていく祐希君。
「…うん!」
やっぱり優しいなあと思いながら握られた手を強く握り返した。
*
「綺麗だね」
「…まあ綺麗じゃなかったらせっかく外に出てきた意味ないしね」
近くの川まで来て2人で座り眺める。
「七夕っていいよね」
「雨だったら年に1回の出会いも消えていたわけだね」
「なんでそういうこというかな…」
今日は晴れていたし星もよく見える。
「…祐希君と毎日会えるって幸せだね」
毎日会って、挨拶して、お話して、こうして2人でいられる。
「…そうかもね」
そんな声が聞こえたかと思うと視界が急に暗くなって。
「…え」
「これからも俺のそばにいてください」
暗くてお互いの顔はよく見えなかった
こうしてまた来年も一緒にいれたらいいな。
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