高尾君は男女問わず仲が良い。
最近高尾君がほかの女の子と話していると胸が少しきりきりと痛むようになった。
病気じゃないことは自分でもわかっているが治す薬なんてないのでどうにもならない。
(人の気持ちも知らないで……)
「最近ねあんた高尾のことばっかみてるよ」
「そ、そんなことないよ」
「…へー、あのでこっぱちのどこいいんだか」
友達が少し呆れたようにしてちらりと高尾君をみる、いまだに女の子と楽しそうに談笑中でなんともいえぬ気持ちだ。
「高尾前に彼女いたらしいんだけどそれっきり作ってないんだよね」
まるでひとりごとでも言うようにぽそりと呟いた友人に「え?」と聞き返すと
「まだその子のこと忘れられないんじゃないかって話もあるしさー、バスケ一筋だし、なにより女の子皆に優しいし特定の子は作らないし…あーつまりね!!あんたが辛い思いするのは嫌だから今のうちにくぎ刺してるの!」
遠まわしに言うのが面倒になったのかそう言うと「…でも、頑張ってね」と付け足して言ったのでなんだか嬉しくて顔をほころばせる。
「なに笑ってんの恥ずかしいじゃない」
「優しいなあって」
前にも彼女がいたとしってショックはショックだったが今のところ付き合いたいだなんて思ってはいない。
「好きかもしれないけど、そこまでお近づきになろうとは…」
「奥手」
「…いいじゃない」
「取られるよ〜あそこにいるのも全員敵」
意地悪い顔を浮かべてそんなことをいうのでちょっと不安になった、確かにライバルは多いんだろう。
「優しいよね」
「その優しさが今現在進行形であんたを傷つけてるんでしょう」
なかなか物事をばっさり言う子だなあと思ったけど事実だし素直に受け止める。
「いっつも笑ってるし」
楽しいことがあればすぐ笑うし場を和ませるのがうまいというか
「その笑顔は違う子に向けられたものだけどね」
「……いいの」
冷たいことしかいってくれない友人の頭を軽くたたく。
確かに今高尾君が笑っているのも話しているのも違う子で私なんかより全然女らしくてお化粧だって頑張ってるし勝ち目なんてない。
仕草だっていちいち可愛くてさりげなく高尾君にボディタッチしてみたりそんなこと私じゃ絶対できなくて、つきりとまた胸が痛む。
高尾君が誰かと笑うたびにまたつらくなる