「それでそれでー?きゃーもう名無しちゃんったら愛されてるね!!」

女子、という言葉が見事にぴったりなリアクションを返してくれた桃井ちゃんはある日突然電話をかけてきて「大ちゃんに会ったのに私にあわないなんて大ちゃんずるい!」というよくわからない理由で2人でカフェに行くことになった。
そこで赤司君とのことを根掘り葉掘り聞かれていちいち反応を返してくれる彼女は本当に恋バナを楽しんでいるというようだった。


「私もテツ君とそんな風になれたらどんなにいいか…」

「なれるよきっと」


桃井ちゃんはぐいぐい好きな人には行くタイプで黒子君に中学で惚れたときからはたからみてもわかるようなアタックを繰り返しているのに当の本人はいつでも無反応というかリアクションが薄くたとえ桃井ちゃんの豊満な胸を押しつけられても照れたり、恥ずかしがったりすることはないのである意味すごいと思う。



「でもねテツ君てば全然気づいてくれないし…」

「告白はしないの…?」

「な、何言ってるの名無しちゃん…!できるわけないでしょ!!」

顔を真っ赤にさせてそう言うが告白と普段のアタック、どちらかというと後者のほうが簡単なような気がする。



「それにほら、他校だし敵同士じゃない」

「………そっか」

良く考えればそうである。桃井ちゃんは違う学校でマネージャーを、そして黒子君もまた違う学校でバスケをしているのだ。つまりはお互いにライバルで、敵同士。


「そんなに気にすることかな。私もじゃあ赤司君とライバルだ」

「名無しちゃんはマネージャーならまだしもみどりんとかの情報売ったりしてないでしょ?」

「そんな情報を読み取ることもできないよ」

「だからいいのよ」



「桃井ちゃんはじゃあ黒子君ともし付き合ったら情報を引き出すの?」

そう尋ねると彼女の目が伏せられ表情が少し曇ったように見えた。


「…それはないと思うんだけど、私の仕事は皆を勝たせることだし……ていうか!付き合うってこと自体ないから大丈夫!!」

桃井ちゃんの恋愛事情はどうやら私なんかのもっとずっと複雑らしく、告白できない理由はライバルということいがいにも絡まっていて、なんだか聞いているこっちが複雑な気持ちになる。
好きなら好きでだめなのだろうか。



「その前にテツ君全然私のこと眼中にないし…」

「あ、あるよ!」

「だ、だって中学からわかりやすいようにアタックしてるのになんで…!」

「気付いてないんだよ!」

「やっぱだめだ……」

ずーんと落ち込む桃井ちゃんと慰めその後2人でケーキを食べ、ふらりとショッピングをしたりとやっぱり女の子同士でしかできないものは楽しいと感じる。




「名無しちゃんのこと赤司君大好きだよね」

ふと桃井ちゃんに言われたその一言が今日一番頭の中に残っている。

















「というわけなのだよ」

「なぜそれを俺に言うのだよ」

ここ数日の皆に会う確率がやばいよ真ちゃんと話すと予想通りの答えが返ってきたというか安定のツンデレだった。


「緑間君もそろそろ皆に会いたいんじゃないかなーって羨ましい?」

「羨ましいわけないだろう、大体会ってどうするのだ」

「…あ、挨拶とか」

「ふん、くだらん」

素直じゃないなほんと緑間君は昔からそうだ。感情が表に出すのがへたくそというかツンツンツンツンデレみたいな比率である。
これはまえにも考えたことある気がする。それだけ緑間くんはツンデレと思わせる言動が多い。



「気にすんなよこいつツンデレだから!」

「だよねー!」

ナイスタイミングでやってきたのは高尾君で思っていたことと一致してることを言ってくれた。


「貴様ら2人してなんなのだよ別にツンデレなどではない」

「ツンデレって言葉知ってるんだ…」

「名無しさんお前怒らせたいのだな?」

「ごめんなさい」

その横で高尾君はまた笑っている。相変わらず笑いのつぼが浅いというか笑い上戸な人だ。


「なんかもう2人の会話聞いてるだけでたのしーわ。ところで名無しちゃんどーよ最近」

「ぼちぼちかな」

「そ、そうじゃねえって…!笑わせないでまじ…!」

「高尾君どうしたの…」

「どこがおもしろいのか理解できんな」


「俺が言いたいのは彼氏さんとどーよってこと」

高尾君にそう聞かれるなんて思ってなくて彼氏についてきかれてラブラブですと自信満々に言うのは正直気が引けるというか自分でも少しないなと思ってしまった。


「…ぼちぼちですね」

「えーあれれそっちも同じ答えかーちぇ、残念」

「何が残念なの」

「いやー彼氏があの赤司だろ?なんか恋について想像できねえからおもしろいことでもねえのかなーって思って」

「それ高尾君が楽しいだけでしょ」

「ばれた?」

へへっと笑っても全く嫌味にならないので悔しい。



「そいやもう残り3日じゃん、早いもんだねえ」

教室にあったカレンダーをちらっとみて高尾君がそう言った、考えてみれば意外と速い。


「……早いなあ」

「何嬉しくないの?」


「んー…嬉しい」

「また何かうじうじ悩んでいるのか鬱陶しいぞ」

「緑間くんひど!!」


会えるのは1日で、たった一回だけあったら私はそれで満足できなくなってしまうような気がしてならない。
楽しみなのに、楽しみなのにどうしたんだろう。




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