最近妙についてる、というかおかしい。
赤司君に会えることになって昔の友達に会って次は



「黄瀬君の撮影外でやってるんだー!」

「かっこいい!」



トップモデルレベルじゃないですか黄瀬君。





ふらっとコンビニに言ってただ友達がおいしいと言ったじゃがこりの新発売を買って帰ろうとしたのにやけに女性の人だかりができている場所があった。
人間、人が集まると気になるもので遠くからでもいいからみてみようと思い覗くとなんと黄瀬君のスナップ撮影だったというわけだ。
中学からモデルを彼がやっているのは知っていたけど然程興味はなかった。表紙を飾っているのを見てただすごいなーと思ったぐらいの記憶しかない。


(ここまですごかったんだ……)


女性がきゃーきゃー言うのもなんとなく頷ける、次々とポーズを決める彼はなんというか素直に口にするのは癪だがかっこいいと思う。

偶然も重なりに重なるともう恐ろしいというか自分の運すごいなあなんて思う。黄瀬君の殺意絵に立ちあったり、緑間君みたいにおは朝みてるわけじゃないのにもしかして自分すごい強運の持ち主なんじゃないかと疑う。


(なわけあるか)


自分で心の中でつっこみを入れ単なる偶然、と思い自分の家がある方向へ歩き進めた。





どうせ家に帰ってもやることはこれといって思いつかなかったので久しぶりに公園に立ちよりベンチに座る。
今の時代公園で遊ぶ子供というのは少ないのだろうか全然人はいなかった。遊具はまだあるのになんだか寂しかった。

ふと電話がなり見ると先程までながめていた人物からだった。


「もしもし?」

『あ、ちょっと名無しっち?俺っスけど!!』

「何黄瀬君」

俺だけどという言葉でも特徴的なその口調と声色ですぐわかるからあえてつっこまないでおく。

『俺今東京なんスけどさっき名無しっちいなかった?』

「うん、いたねー」

結構人が多かったし気づてないだろうなと思ったけどどうやら彼は私を見つけたらしい。


『もうちょっといてくれたら良かったのに!俺もうちょっとで撮影終わるんスけど久しぶりに会わないっスか?』

「いいよ」

特に断る理由はないし黄瀬君はお菓子がおいしいお店とかを良く知っているのでこちらにとっても不利なことはない。


『じゃあ後で電話するっス!』














おしゃれな店内の雰囲気におしゃれなモデルさん。来てすぐだがすぐに帰りたい衝動にかられた。


「久しぶりっス!」

「久しぶり、元気だった?」

先程ときている服が違うのでどうせ撮影なんだろうなと思って「衣装チェンジもあったんだ大変だね」というと「あー違うんスよね…ファンの子たちに同じだと気付かれちゃうんで」苦笑いをする黄瀬君がなんだかかわいそうに思えてきた。


「これでも頑張ってまいてきたんスよ?」

「撮影を?ファンを?」

「名無しっちまくって言葉知ってるんスか、でもそっちじゃないっス。ファンの子たちを、ね」

「わざわざありがとう…」

ただ私に会うだけでそこまでしなきゃいけない黄瀬君の人気にも驚きだが、そこまでする黄瀬君になんだか申し訳ない。


「いいんスよ名無しっちとはお話したかったし」

「ファンの子たちに言ってあげなよ、喜ぶ」

「ははやめとくスわー」

赤司君がいるからといって他の人を見て何とも思わないわけじゃない、そりゃあ確かに赤司君はかっこいいと思うが私だってイケメンを見ると普通にかっこいいと思うしどきどきしたりするのだ。黄瀬君は顔はイケメンなのでいちいち何を言ってもかっこよく聞こえる。



「好きなもの頼んでもいいっスよ」

「え、ほんと?やだ黄瀬君いつの間に男前に」

「ちょ、それどういう意味スか」

冗談だよと笑うとへらりと笑って「変わってないっスね」と言った。

「それこそどういう意味…!私だって成長してるよ!」

聞き捨てならない言葉にそう言うとぱちりと目を瞬かせてから少し呆れ気味に黄瀬君が言った。

「別に胸の話じゃないんスけど」

「はめたの」

「勝手にはまったんスよね」

「黄瀬君変わったね…昔はもっとこう、天使っぽくて…」

「俺のイメージどうなってんスか」

それも先程と同じように冗談だよと返してメニューに視線を落とす。


「ちょっと相談ごとしても良いスか」

「私でよければ、あ、すいませーんチーズケーキ1つ下さい」

頼むものを決めてメニュー表を閉じて黄瀬君と向かい会う。
まじまじと見るとそれほど変わってないけど少し大人っぽくなったかなと感じた。


「俺、バスケ好きなはずなのに最近わかんないんスよね」

「……楽しくないの?」

ぼんやりと中学時代が頭をよぎった。
1人でぽつんと寂しそうにバスケをする黄瀬君が浮かぶ。



「いや、楽しいんス。楽しいはずなんスけど……」

「じゃあ、楽しいんじゃないかな」

「…え」

少し驚いたようにこちらを見る。


「楽しくなかったら黄瀬君バスケ続けてないんじゃないかな、中学校の時のことはあんまりよくわかんないけど、寂しくても辛くてもずっとバスケ続けてきたじゃない。黄瀬君すごいよね、偉いよね、私だったらたぶんできない」


「名無しっち………」

「今はわからなくてもたぶんバスケ楽しいなって思えるよ、今は皆ライバルで自分のチームだけが強いわけじゃないでしょ?」

「それもそうっスね…」

はにかんで黄瀬君が笑った、撮影でもこんな笑顔すればいいのになと思う。


「赤司っちが名無しっちを選ぶ気持ちがなんとなくわかるっス」

「……どうしたの急に」


「赤司っちより前に俺に出会ってたら、たぶん俺絶対名無しっちと付き合いたかったっス」

「え、ななななに…!」

「顔真っ赤スよ」

「意味わかんない黄瀬君いけめんばか!」

「褒めてるっスよねそれ」

急にわけがわからないことを言われるとパニックになるわけで、たぶん冗談なんだろうけど恋愛経験が少ない私にとっては軽いものじゃない。


「本当っスよ?あ、赤司っちには内緒っス」

「黄瀬君今日どうしたの…」



久しぶりに会った彼はやっぱり少し変わったのかもしれない。







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『へえ、今度涼太に会ったらきつく言っておかないとな』

「な、何を」

今日黄瀬君に会ったことと内緒とは言われたもののやはり言ったほうがいいのかなと思い黄瀬君には申し訳ないが話したことを言うとそれまで黙って聞いていた赤司君が口を開いた。



『俺の彼女を口説くなってね』


やはり黄瀬君に言われるよりもどきどきが大きくて、赤司君の1言はすごくうれしくなる。

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