「名無しさんじゃねーの」

「あれ、青峰君」

偶然というものは恐ろしい、つい昨日黒子君に会ってそして次の日にはまた中学時代のお友達と遭遇。相変わらず黒いなあなんて思いながら軽く会釈をする。


「何してるの」

「あ?ここにいちゃわりーってのかよ」

「ストバス?」

「まあそんな感じだ」

「ついていってもいい?」

「なんでだよ」

あからさまにお前バスケできねえだろオーラを発してそう言った青峰君に少しむかついたが私も今暇だしすることがないので彼のバスケを久しぶりにみたいなと思った。


「中学以来見てないしさ」

「別にいいけどよ」

青峰君の後ろを黙ってついていく、相変わらず大きい。確か190ぐらいあったような気がしないでもない。
ここまで大きい人なんてそうそういないんだろうなあと思いもっと大きいお菓子が大好きな彼が思い浮かんだ。さすがに秋田まではいけないが。


「青峰君さつきちゃん元気?」

「知らねえよ元気なんじゃねーの、お前に会いたがってたぞ」

「え、ほんと?会いに行こうかなあ」

さつきちゃんには私も会いたいし2人で女子の恋バナというやつもしたい。
男の人に相談するのとはまたちょっと違って恋バナというだけでなんだか淡くて女の子って感じがする。



「そういえばね赤司君に会うことになりましたー!」

思い出して、ぱちぱちと自分で拍手をつけて言ったのに目の前の男は無言ですたすたと歩き続けるばかりで少しは反応示してくれたっていいじゃないか。

後ろから思い切り腰辺りをおすと「なにすんだてめえ!」と怒られて頭を軽くたたかれた。


「痛い…」

「てめえがくだらねえことすっからだろ、赤司に会える?おーおー良かったな」

「あからさますぎる」

「うっせえ」


なんだかんだで話しているうちに着いて、バスケのリングが設置されたその場所は誰も人がいなかった。


「ラッキーだったね」

「まあな、つってもあんまここ人いねえけどな」

たまに中学生のやつらとかやってんのみかけるけど、とつけ添えて持っていた鞄をおろしバスケを手に取り軽くドリブルをする。


「お前もやるか?」

「遠慮する」

にやりと笑った彼に即答する、できないことを知ってる癖にそんなことを聞いてくるなんて青峰くんはやっぱり青峰くんだ。


シュートして、なんだかよくわからないけど変幻自在って彼のこというのだろうか。
フォームはきっちりしているわけじゃないけど外さないし全然中学時代から劣っていない。


でも、どこかつまらなそうだった。

バスケのことはよく知らない、赤司君がやっていたから関わっただけで私にはどうこう言えるほど知識もない。
好きな人のやっていることは知っておきたいってだけで部活もみるようになったしキセキの世代っていう存在がいるのも知ったけど、最後のほうにはどんどんおかしくなっていった。
青峰君はそれが一番わかりやすかったとおもう。私からでもわかるような。



「青峰君、1人でバスケするなんて寂しい人だね」

「うっせえな強ぇやつがいねーんだよ」


ほら、また。



「黄瀬君いないもんね、1on1いっつもねだってた」

「あいつはただしつけえだけだ、勝てねーのに何回も挑んできやがって」

「それでも楽しそうにやってたじゃん」

「やらねえとうっせえんだよ」

素直じゃない、ほんとは嬉しかったくせに何言ってんだガングロ、楽しかったんでしょ。


「聞こえてんぞ」

「声に出てた!?」

すごい形相でこちらを見るので慌てて笑ってごまかす。












赤司君、青峰君はいつになったら楽しそうにバスケができるのかな。











『それは僕にもわからないな』

「………」

赤司君にいったところで彼がどうこうできる問題じゃないと思っていたけど、自分で言っておいて言わなければ良かったと後悔する。
青峰君の気持ちの問題でこれは誰にもどうしようもないのに、赤司君は困っただろうきっと。


『才能があるというのも困りものだな、開花が早ければ早いほど周りは追いつけない。それが苦痛に感じる、才能故に苦しむというのも仕方がないことだ』

「だめだったよね、最後」

『それは中学校の時のことか?』

「うん」

『…そうだな』


赤司君もたぶんわかっていたんだろう、気付いていたと思う。
それでもどうしようもなかった。


『世の中強いものが勝つのは当たり前の事だ、負けるのは許されない』

「…うん」

言いたいことはわかるけど、今だけは赤司君の考えに素直にうなずけなかった。緑間君もそんなこと言っていたような気がする。

負けてもいいと思う、ずっと勝つことばかり考えて背負って赤司君は辛くないの?背負ってるものが重くないの?疲れないの?

聞きたいけどそれを聞くことはいつもできなかった。



『…こんな僕は嫌か?』

「そんなことないよ」

『なら良いんだ、すまない』

私の気持ちを察したかのように赤司君らしくないことを聞かれて驚いた。
嫌いになれるわけはない、それでもその人のすべてを愛するっていうのはどうしても難しいことだと思う。

急にじゃだめだからゆっくり解決しれいければいいと思った、全部。




残り5日だね赤司君。
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