「よい、しょ…!」

自然とそんな言葉が口を出る。
私は今お腹に子供が1人いてもうすぐ生まれる予定だ。お腹もそれなりに大きくて家事仕事は前まで普通にこなせていたものでも一苦労になっていた。

私の旦那でお腹の中の父親となる存在の黒子君は保育園で働いている。
夜遅くまで子供を預かることもあり、帰りは何時になるかわからない。今現在も帰りを待っている最中なのである、洗濯物を取り込んでせっせと畳んでいく。

(黒子君夕飯何が良いかな…)


畳みつつそんなことを考えたりして、気を紛らわす。誰もいないというのはやっぱり寂しい。
特に見たいテレビもないため部屋もしんとしている。


「……っ」

突然吐き気がおそう。つわりだ、急いで洗面所へ駆け込む。




つらいし、苦しい、でも耐えるしかない。






「大丈夫ですか…っ!!」


焦っているような声が聞こえる。
声を主を私はよく知っている。



「すいません、仕事が長引いてつらくないですか?」

背中を優しくさすって体を支えてくれる。
黒子君が傍にいるだけでこんなにも安心する。




「おかえりなさい…」

そう言って笑うと「ただいま、でも今はそんな場合じゃないでしょう」と少し怒られた。
ちゃんと返してくれるところが黒子君らしい。


黒子君に連れられてソファによりかかる、先程よりは大分ましだ。


「……大丈夫ですか?」

黒子君は決まってつわりがおきるとずっと心配してそばにいてくれる、大丈夫だと言っても離れようとしない。


「平気だよ」

「……仕事少しの間休み取りましょうか」

「それはだめだよ」

「でも僕名無しが心配です」

しゅんと眉を下げる黒子君がかわいいなあなんて思う、昔より大分成長した彼の頭を手を伸ばしてゆっくりとなでる。


「大丈夫だからね、大丈夫」


「それが大丈夫に見えないんですよ……」

そう言ってから手をゆっくりとお腹の上に置く。



「僕やっぱり少しの間仕事休もうかと思います」

「……どうして?」


「名無しがやっぱり心配です。1人で家にいてもし急に生まれそうになったとき傍に誰もいなきゃどうするんですか、助けあっていくのが夫婦ですよね?」

じっと見つめられて、ため息を吐く。「かなわないなあ黒子君には」


「出産には立ち会って、一緒に喜びたいんです。初めての子ですから」

「……うん」


「僕、先生をやっていると思うんです子供っていいなって、でもやっと僕と名無しの子が生まれようとしてるんですよね」


お腹をなでる黒子君の手つきは優しい、黒子君もいろんなことを思っているんだと思った。



「嬉しいです、生まれたら泣いちゃうかもしれません」

「…私もだよ」

「生まれてくる赤ちゃんも含めて3人で泣きましょうか」

「ふふ、それ良いね」











泣いて笑って幸せな家庭を築こうよ

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