「ついに会える日が決まったのだよ」
「嬉しそうだなー」
「真似をするな!!」
なんか最近の私はいちいちこの2人に細かく報告しちゃってるなあと思う。
嬉しさを話したくてたまらないのだ。
「…つーか予定立てるの早くね?もう前々から決まってたんじゃねーの?」
「そうだったらいいよね!」
きっと今の私の顔はだらしなく緩んでいるんだろう。高尾君は予言を見事に当てたので、高尾君の言うことはあまり疑わないことにした。
緑間君はこういった話に自分から混ざったりすることはないが、話は一応きいているようで「むっつり」なんて言ったら恐ろしい目つきで睨まれたのでもう言わない。
「後1週間かーうわー嬉しいなーそわそわするなー「黙れ」
「緑間くんつめたー氷よりつめた」
「それ意味変わっちゃうから名無しちゃん」
そういつつつぼったのか笑っている高尾君、彼はどうやら笑いのつぼが浅いらしい。
「そういや名無しちゃんの彼氏ってどんなんなの?」
笑いが収まった高尾君がふとそんなことをきいてきた。
そういえば彼には赤司君のことは話していなかったような気がする、今まで一方的にのろけていたなんてなんだか恥ずかしい。
「頭が良くて、スポーツもできちゃう、うん一言でいうと完璧だよ」
「えーまじかよさすがに彼氏だからってひいきしすぎじゃねーの?なあ真ちゃん」
「…その通りなのだよ」
「……まじ?」
さすがに緑間君なら嘘をつかないとおもったのか、帰ってきた答えに驚いている。
「しかも部活のキャプテンもやってて」
「ちょ、ちょ、ストップ」
「……どうしたの高尾君」
「あのさあ、それってさあもしかしなくても
バスケの強豪帝光中キャプテン赤司征十郎だったりする?」
「うん」
素直にうなずくと目を見開いて固まった、私なんかが赤司君と付き合っていたらそりゃあ驚くだろう。
「名無しちゃんすごい子だったんだな…」
落ち着きを取り戻してから高尾君がぽつりとそうもらした。
「すごいのは私じゃないよ、赤司君だよ」
*
「明日ね!黒子君に会いに行ってみようと思うんだ」
唐突に昔の皆が頭に思い浮かんできて、赤司君にそう告げる。
高校に入ってから一回も会ったりしていない、1度だけでも姿を見たいものだ。
『なんだ堂々と浮気発言か』
「ち、違うよ…!」
『冗談だ、ほんとにからかいがいがあるな』
「……!」
最近赤司君とのこういうやりとりが増えたなあなんて思う、赤司君が楽しんでくれるならそれはそれでいいけど赤司君が笑っているとやっぱり笑顔が、顔が見たくなる。
「…赤司君、写真くれない?」
『断る』
だめもとでそう言ってみるがやっぱり返事は即答だった。
『僕に自撮りしろっていうのかい?』
「あー…えと、いや、赤司君の顔がみたいなって」
写真はみたいといったがなるほど受け取る側としてはそうなるのか、自撮りなんて勇気がいる。
しかもあの赤司君ときた想像ができない。
『嬉しいことを言ってくれるじゃないか、でもずっと見ない方が会った時の感動が大きくなるだろう?』
「…それもそうだね」
うまく丸めこまれた気がするがまあいいと思い、気にしないことにした。
赤司君に会えると考えるだけで嬉しくて胸がいっぱいになるのだ。
「赤司君学校楽しい?」
『まあまあ、ね。でも名無しがいないからそこまでじゃないさ』
電話でそう言われただけでも顔が火照る私はおかしいのだろうか。
「バスケ部強い?」
『強いよ、すごく』
「そっか」
『ねえ名無し』
「ん?」
『学校楽しいか?』
少し悩んでから「そこまでじゃないよ」と言う。
だって、だってね
「赤司君がいないから」
『同じだな』
くすりと彼が笑う。
離れてたって心は一緒なんだね。