「というわけですよ!」

「まじかよ良かったじゃん」

「良かったではないか」

昨日のことを早速2人に報告すると高尾君はもちろん驚いていた、珍しく緑間君も嫌味ではなく素直にそう言ってくれた。


「京都からわざわざくんだろ?用事ってなんだろうな」

どこか含み笑いを浮かべていう高尾君に頭をかしげ「そういえばなんだろうね?」と返すと

「そうじゃねえよ!その彼氏さんは用事っつーのは表面の言葉だけでほんとは名無しちゃんに会うためじゃねえのってことよ」

「…高尾君予想今度はないと思うよ」

きっとない、赤司君が私のためだけに来てくれるんだったらどれほど嬉しかったか。でもそれはないと自分でも言いきれる。

「え、何でよポジティブで行こうぜ」

「うーん…ないよね緑間君」

「なぜ俺に振る…それはわからないのだよ」

「えっ」

正直「お前ごときのために赤司がくるわけないだろう」とかまた毒を図れるんじゃないかと少し思っていたので予想外だった。

「ほーらな真ちゃんもそう言ってんじゃん」

「だったらいいよねえ…」

なんて自信な下げに言うと「性格と違って恋には消極的に考えんだな」なんて高尾君に笑われた。


「付き合えたのも不思議なぐらいなので」

「なになにーなれそめきかしてよ」

どこか期待して言った高尾君の視線が痛い。

「なれそめ…?覚えてない…」

「え」

ほんとに記憶に残っていなかった、うっすらぼんやりとしか頭に浮かんでこない。

「どうだったけ緑間君」

「俺が知ってるわけないのだよ」

「ま、いいじゃん気にすることないよ高尾君」

「ちぇー残念」

必死に思いだそうとしても思いだせない。
気がついたら付き合っていたような気がする。





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『一週間ぐらいでそっちにいくよ』

「日曜日になるね」

『休日のほうが都合がいいだろう?』

「うん」

毎晩必ずしている赤司君との電話、今日は日程について説明してもらった。
昨日のことなのにもう決めてしまうなんてさすが赤司君だなあと思った、遅く伝えられるよりは早い方が良いに越したことはないのだが。


「ねえ赤司君、いつから付き合ったんだっけ」

ふとそんなことを尋ねてみると『忘れちゃったのかい?僕は中2だったと思うけど』と言われた。

「忘れたわけじゃないんだけどね、気がついたら付き合ってたような気がするから」

『それもそうだな』

「やっぱり?」

赤司君も同じことを思っていたらしい、良かったと安心する。


『名無しは僕がそっちについたらどこか行きたいところはあるか?』

「赤司君が一緒ならどこでもいいかなあ」

『…狙ってるのか?』

「え?」

『いや何でもない。名無しは昔から鈍感だからな』

「ひどい赤司君…!」

『じゃあ僕が中1にはもう名無しのことが好きだったって知ってたか?』

それは初耳だった。
1目惚れしたのは自分の方で、アタックしていたのも自分だった気がする。
こうして聞くと結構はじめの方から両想いだったんだなあと頬が緩む。

「ほんと?」

『さあどうだろうね』

「ひどい!期待したのに!」

『期待しても良いよ』

「……赤司君電話だと何か、こう」

言葉がストレートというか、こちらが照れるセリフを普通にいってくるというか。
言葉に詰まっていると何が言いたいのかわかったのか

『心配だからね』と言った。


『名無しのことは心配してるとはいえ、離れてたら気持ちが離れちゃうことだってあるかもしれないだろう?だから言葉にできるものは言葉にしたほうがいいかと思ってね』

「あ、あかしくん…」

『僕だけだったかな?』

「大丈夫だよ、赤司君のことちゃんと好きだからね」

中学校時代でも好きだなんて言葉にすること滅多にしてなかった。
隣にいるのがあたりまえだった。

『僕もだよ』

遠距離ってつらいものばっかりだと思ってたけど、こうして電話していつもより素直に言葉にできるならそれも素敵だと思った。






君に会えるまで一週間だよ赤司君。
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