青峰君お誕生日




















綺麗に包装されているのを確認してそれをもって青峰君の家へ向かう。
家についてベッドの上に横たわる彼に

「青峰君!ザリガニとりにいかない?」

「は?」

なぜ急に私が彼にこんなことを申し出ているのかというと数日前青峰君のお誕生日ということで幼馴染という桃井さんを訪ねた。







_______________________





「も、桃井さん…?」

教室で彼女らしき人にそう声をかけると少し私を見た後納得したような笑顔で

「もしかして名無しちゃん?」と聞かれた。

首を縦にふる。

「青峰君から話は聞いてたんだけどね!初めましてだよね、私桃井さつきさつきって読んでくれて構わないからね」

「よ、よろしくねさつきちゃん」

手を握られたので握り返すと嬉しそうに笑った。

彼女に会いに来た当初の理由をはっと思いだし尋ねる


「あのね青峰君の好きなものってわかるかな?」

そう言うと何か考え込んだ後にやりと笑った。

「青峰君のお誕生日?」

彼女にはどうやらお見通しだったらしい顔がぼっと赤くなる。


「…おはずかしながら青峰君の好きなもの全然わかんなくて」

「そっかあ私でよければ力になるよ!青峰君の好きなもの…」

うーんと唸るように考えて「あ」と声をあげた。


「2つあるんだけどそれでもいい?」

「うん!」



___________________






彼女にきいた青峰君の好きなものの1つが生き物というかそういうのを捕まえるのが得意らしくならば誘ってみようと思った。


「何だ急に…」

「夏だし、ね?」

「お前生き物好きだったか?」

桃井さんから聞いたというのは一切伝えず唐突にそう言うとやっぱり不審がられた。


「……だめかな?」

「だめってわけじゃねーけど暑いし無理する必要ねーんじゃねえの?お前と家にいれたら俺はそれでいいし」

さりげない一言にすらいちいちときめく私は重症なのだろうか。

「わかった、ザリガニは今度にしよう」

「今度やるのかよ」

家から連れ出してどこかへ2人でいきたかったのだが仕方ない。
持ってきた袋から包装されたプレゼントを取り出す。


「青峰君、これ」

そう言って渡す。

「何だこれ…」

「お誕生日でしょおめでとう」

笑ってそう言うと少し驚いた顔をしてからはにかんだ。

「そういやそうだったな…ありがとな」

中身を空けた青峰君が固まった。



「…さつきだな?」

「ち、違うよ…」


こればっかりは疑ってしまっても仕方ないだろう。
何かあげたいと思い悩みに悩んだ結果さつきちゃんに教えてもらった2つ目の好きなものが「グラビア」だったのだ。
これは正直すごく悩んだし買うかどうか本気で迷った。周りの目を気にしながらもまだ勝っていないと教えられた堀北マイちゃんの本を結局は購入。

そしてマイちゃんのプロポーションを見てショックをうけたがどうにもならない。
青峰君は胸が大きい子がタイプなんだと分かった日だった。


「さつきに吹きこまれたんだな?」

「……」

視線をそらす、吹きこまれたわけではないが図星なので何も言えない。


「……名無し…」

ベッドに座っていた青峰君が立ち上がりこちらへ歩み寄る。


「…だって青峰君の好きなもの彼女のくせに全然わからなくって…それで…ごめんね…何にも知らなくて…バスケ私ができたら相手とかしてあげられるんだろうけどそれもできないから…」

言ってるうちに気分がなんだか沈んで行く。せっかくの青峰君のお誕生日なのに。

「バーカ」

くしゃりと大きい手が頭をなでる。

「ほんっとによー気ぃ使わなくても誕生日にお前がいてくれるだけで嬉しいんだっつーの俺は」

「青峰君……」

「無理して何かしようとか考えなくていいからな、後さつきにもう話しかけなくていいぞ」

最後のは何で言ったのかわからないが泣きそうになるのを我慢して言葉を紡ぐ。



「青峰君…おめでとう、生まれてきてくれてありがとう大好き」

「おう」

そう言った後、力強く抱きしめてくれた。















それなりに充実した日だったと思いながらも彼女を見送った後すぐさま携帯を取り出し、電話をかける。


『もしもし?』

「おいてめえさつきどういうつもりだ」

『何大ちゃん珍しく電話かけてきたから何かと思ったら』

「名無しに変なこと吹き込んでじゃねえよ」

『変なことって?あーもしかして大ちゃんの好きなもの?何よほんとのことじゃない』

悪びれるそうぶりも見せずむしろ反発してくる態度にさらに腹が立った。

「お前のせいであいつマイちゃんの写真集かってきたんだけど」

『え!!??ほんとに!?ほんとに買うなんて思ってなかった…それはさすがに悪いことしちゃったなあ…』

「それだけじゃねえよお前ちったあまともなこと言えねえのかよ」

『にしても名無しちゃんかわいいね、大ちゃん彼女のことなんにも離してくれないんだもん』

「誰がお前なんかに言うか」

『でもお友達になったもん』

「自意識過剰だブス」

『何よ!!ひどい!!!名無しちゃんに幻滅されちゃえ!!』

「俺がグラビア好きでも幻滅しなかったからそれはねえな」

『…大ちゃんなんて……いいもーん女の子のほうがいっぱいお話できるし』

「お前名無しに話しかけんな」

『そんなの大ちゃんに関係ないじゃない!』

「ある、彼氏だからな」

威張ってそう言うとさすがに何も言えなくなったのかしばしの沈黙。



『大ちゃんなんかにもったいない…』

「うっせブス」

そう言うとさすがに怒ったのか通話がきれた。


堀北マイちゃんが好きだと言われた時彼女はどう思ったのだろうか。
少しだけでも嫉妬してくてたならいいななんて考えてしまったり。


「…あー」

重症だな俺も。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -