「今日も暇かなー大輝」

「えーあんた最近青峰君と遊びすぎーずるいー」

「じゃああんたも一緒に行く?簡単にOKしてくれるし」








廊下ですれ違う時そんな会話が聞こえた。


ずきりと胸が痛むのを感じた。





「え、てゆーか今すれ違ったの大輝の彼女さんじゃない?」

「やばあんた謝りなって…!」

「えー大丈夫でしょーねえ、ちょっと今良い?」



そう問いかけられて仕方なく頷く。

ほんとは今すぐにでも逃げてしまいたかった。









「もう名無しさんさんも気付いてると思うけど大輝と別に遊んだりしても良いよね?」

「…………」

「本人は別に嫌がったりしてないみたいだしさあーむしろ名無しさんさんより一緒にいてごめんね?」



相手の笑い声が頭に響く。





すぐに否定してやめてって言いたかった。
けど、言葉が出てこない







「大輝軽いしきっと遊びで付き合ってあげてんだよ、遊んでもらってる子なんてたくさんいるらしいし」


「……そんなの知ってます」









知ってるよ

もうずっと前から





とっくに気付いてたじゃない。












「知ってるならいい加減わかれなよ名無しさんさんもつらいだろうし、大輝もきっと言いだせなくて困ってるだろうし」



「そんなの…本人に聞いてみないとわからないでしょ…」









"迷惑"




青峰君はそう思ってるかどうかわからないけどきっとそうなのかな。




じわりと目の奥が熱くなった






「はー…まだ信じてるわけ…何ずっと続くとでも思ってんの」

「もうやめなって…!言いすぎ」


もう1人がとがめると渋々といった感じで言うのをやめた。




「………まあどうでもいいけど」




吐き捨てるようにそう言うと踵を返し行ってしまった。








(泣くな、泣いちゃだめ…)





ぐっとこらえて流れないよう耐える。

いつからこんなに泣き虫で私は弱くなってしまったんだろう。




























「…名無し?」






聞き覚えのある声が聞こえた。




「あ、青峰君…」




後ろを振り向くことはできない、さっきの言われた言葉が怖くて向き合えない。


泣きそうな顔をしてるのも見られたくない。








「何してんだよこんなところで突っ立って」

「何でもないの…!」





いつもは話しかけたりそんなことないのにどうしてこういう時に限ってタイミングが悪い。







「何でもなくねえだろ…」


そのまま立ち去ってくれたらどんなに楽だっただろう。
足音は近付いてきて




「ほんとに何でもないから…!!」






思わず逃げ出した。




「あ!おい!!」


















それでもバスケ部の脚力にかなうわけもなく腕を掴まれあっけなく捕まる。





「…離してほしい」

「やだって言ったら?」







思えばこうして離すことすら久しぶりかもしれない。
いつも私が話しかけても相槌や返事で終わってしまう。







「何なんだよ」

「…何でもないって」




「だったらこっち向けって…!」





ぐいと腕をひかれ体も持って行かれ青峰君と向き合う形になる。


泣いてるなんてばれないよう俯いて必死に隠していたけど





「なんでないて…」


「青峰君には関係ない…!!」



そう言うと一瞬腕の力がひるんだ。

その隙に抜けだしまた駆け出す。





今度は追いかけてくることはなかった。











ごめんね青峰君、私なんか彼女で





きっともう恋人ごっこは疲れてるんだろうね










































君に謝りたかったこと
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