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数日前、夜月が女だと知らされた。付き合いはオレのほうが長いのにサバナクローは一目でアイツが女だって見破るし、トレイ先輩とケイト先輩も若干気づいてたみたいなこと言うし。いやオレだって女っぽいって思ってたけど、なんで女だって確信するんだよ!ここは男子校だぞ!

あれ以来、夜月が女だと知って以来、無意識に目で追うようになった。いままで男だと思ってたやつが女だってわかったらそりゃ意識くらいするし、戸惑うのも当たり前だろう。でも意識してるってバレるのは恥ずかしいしダサいから、本人の前では気にしてないのを装う。それでも以前よりボディタッチは減った。

エースと夜月は2人で図書室に来ていた。近日にテストがあるから一緒に勉強することになったからだ。デュースとグリムは授業でやらかしたおかげで補習にいっているため、此処にはエースと夜月の2人しかいない。

エースはまともに勉強する気がなく、ほぼ手付かずで面倒くさそうにしていた。一方隣に座ってる夜月は真面目に教科書を開いて勉強をしている。その様子をエースは肘をついて眺めていた。


「(可愛い顔してんなあ・・・・・・)」


夜月を女と認識して以来、夜月のひとつひとつのパーツや仕草に自然と目が行った。前から女っぽいとは思ってたけど、本当に女なんだなと最近思う。いくらポムフィオーレみたいな女に見える男がいるからと言って、夜月を男と思うなんてどうかしてると思うぐらい、女の子にしか見えなかった。

仕草も口調も態度も、男と思ってた時と変わらない。それなのに、無性にこいつが可愛く見えた。女だと知って無駄に意識してるせいだと思ったが、ああ違うなってここ最近気づく。

ふと、視線をノートに落としてペンを動かしたまま夜月が片手で耳に髪をかけた。伏せた瞳で耳に髪をかけるしぐさは、どこか艶があった。夜月はノートに視線を落としたまま、ペンを走らせる。


「(・・・・・・つまんね)」


視線を落としたままの夜月を眺めてても、面白くない。こっちに目向けねえかな、なんて思っておもむろに手を夜月に伸ばした。伸ばした指で耳後ろから首筋を滑らせた。夜月はビクッと肩を揺らして驚く。そのまま頬にも指を滑らす。手袋越しでもわかるぐらい肌はすべすべで、柔らかい。ああ・・・・・・これで男とか思ってたとか・・・・・・オレ、バカじゃないの。


「ふふ、くすぐったいよエース」


夜月はクスクスと笑った。くすぐったいと言う夜月を無視して、エースは無言で指を滑らした。流れる手つきで髪も触ってみる。サラサラしてて髪の毛一本一本柔らかい。ふわっとしてて、わずかにシャンプーの香りがする。なんか、いいにおいする。

「なーに、退屈になったの?」ペタペタ触れてくるエースを気にしない様子で微笑みながら夜月は言う。視線は相変わらず教科書やノートに向いていて、ペンを走らせている。ちょっとくらい意識しろっての・・・・・・エースは少しムッとなった。


「あー、飽きたしちょっと飲み物買ってくるわ」
「じゃあ私のもよろしく」
「えー? じゃあ明日の昼奢りな」


「んじゃ、行ってくる」夜月の返事も聞かず、エースはそういって図書室を出ていった。エースが出ていったのを見ると、夜月は手の伸ばして背伸びをした。長いこと座っていたから、身体がいたくなった。エースが返ってくるまで少し休もう。夜月は机に突っ伏してそんなことを考えているうちに睡魔に襲われ、誘われるまま瞼を下ろした。



* * *



「・・・・・・」


手に2人分の飲み物を持って戻ってきたエースは、机に突っ伏してスヤスヤ眠る夜月を見てため息を落とした。「寝てるし・・・・・・ったく・・・・・・」机に飲み物を置き、再度夜月に視線を向けた。眠った夜月を見て起こさなくてもいいかと思い至ると、エースはブレザーを脱いで夜月の肩に羽織らせた。


「(寝顔見んの、これで3回目か)」


ハーツラビュル寮を追い払われてオンボロ寮に泊まった時、一緒のベッドで2回寝たことがあった。その時も寝顔を見たが、今ほどかわいいとは思わなかった。こいつ、寝てるときは幼い顔すんだな。指で髪を払って、スッと指の背で頬をなぞる。

ふと、夜月の唇に目が行った。ふっくらとした柔らかそうな唇。エースは好奇心と下心で、そっと手袋のしていない手を伸ばした。人差し指で触れて、ゆっくりとなぞる。温かくて、想像してたよりも柔らかい感触だった。なぞった感触がくすぐったかったのか、夜月が寝息を零した。驚いてすぐに手を引っ込めて夜月を見下ろすが、起きる気配はなかった。


「っはあ〜〜・・・・・・・・・・・・」


「勘弁しろよ・・・・・・マジで・・・・・・」両手で真っ赤になった顔を隠すように覆ってその場に蹲った。夜月が全然男として意識していないことは知ってる。見てれば分かるし、今までのことを振り返ってもそうだ。夜月にとって、オレは最初にできた"友達"。それ以上でも以下でも、きっとない。でもさあ・・・・・・


「ちょっとくらい、意識してくれてもいいじゃん・・・・・・」


こっちはもう、女の子にしか思えないのに。
エースは拗ねたように唇を尖らせ、恨めしそうに眠った夜月を見つめた。





Chapter2の後、Chapter3前の主人公が女の子だと判明した後の話です。エーデュースは絶対主人公が女の子だと判明したら無駄に意識する。エースは平然を装うけど明らかに今までと距離感とかが変わってくるはず。今まで女っぽいとは思ってたけど、いざ本当に女の子だと知って無駄に意識して、異性としか見れなくなっちゃったエース。Prologueでの一件やハーツラビュル寮での一件で好感度が上がったところで異性と知ったら、そりゃ意識しちゃうよね。思春期男子高校生だし。多分エースは恋の自覚は早いけど、今の関係性を壊すの怖いし心地いいから下手に手を出すつもりはない。お友達ポジションに不満はあるけど周りとは一歩先にいる・近いことには変わりないので、ひとまずそこで優越感に浸ってる。これはデュースも同じ。主人公の隣はオレっていう優越感。でも思春期だしギリギリだからいつかプツンと行ってタガが外れる。それはいつかな・・・・・・