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ラギーは驚いてギョッとレオナを見詰めた。「でもそれ、魔法よりも難しいんじゃ・・・・・・」不安げに言う夜月に「ラギーは器用で、“手癖が良い”からな」とレオナはニヤリと笑みを浮かべて言う。確かにレオナの言う通り、ラギーは“手癖が良い”。素早いし、注意さえ逸らせればいけるかもしれないと夜月は思った。カリムもその作戦に賛成した。


「うぇえ〜・・・・・・アンタら本気ッスかぁ?」


ラギーは嫌そうな顔をする。そんなラギーを無視し、レオナは話を続ける。「おいラギー、ティアラをすり替えるのに何秒必要だ?」ラギーは腕を組んで考える。「うーん・・・・・・ティアラの大きさや環境を踏まえると・・・・・・15秒ってところッスかねえ」と言った矢先に「10秒だとよ」と勝手にレオナが言う。


「でも、その間に女王の意識を逸らしてもらわないと、さすがにすり替えるのは厳しいッスよ」
「10秒か・・・・・・」


短いようで長い時間だ。ジャミルや夜月が目を引く方法を考えていると、カリムが「なあなあ、フェアリーガラって春を祝うお祭りなんだよな?」と声をかける。お祭りと言えば、パレードだ! 女王が思わう夢中になるようなパレードをするのはどうだ?」なんともカリムらしい発言だ。「出た〜、カリムくんの富豪発言」ラギーはやれやれとする。


「――いや、待てよ。案外良いアイデアかもしれない」
「え?」


カリムの案を肯定するジャミルに思わず目を丸くする。「フェアリーガラでは祝祭のメインイベントとしてファッションショーを行うんだろう?」ジャミルの問いに「おう!」とカリムは答える。ランウェイの上では、歌でも、ダンスでも、春を盛り上げるパフォーマンスならなんでもいいらしい。「・・・・・・それだな」ジャミルは頷く。


「俺とカリム、そしてレオナ先輩がファッションショーで会場中の注目を集める。それで女王の注意が逸れたすきに、ラギーとグリムとヨヅキがティアラをすり替えるんだ」


「え、私も参加するんですか・・・・・・」ジャミルの作戦を聞いて思わず口に出す。「あ、なに自分だけでも逃げようとしてるんスか。駄目ッスよ、最後まで付き合ってもらいますからねえ」そんな夜月に逃がさんとばかりにラギーはじとりと見やった。


「はあ? この俺に妖精のお遊戯会に出ろってのか?」
「10秒は意外と長い。ラギーの時間を稼ぐためには、全員で取り組むしかありません。グリムとヨヅキがラギーのサポート。オレタチは消去法でショーにでる」


「・・・・・・断ってもいいですよ。作戦が失敗したら、一番困るのはレオナ先輩だと聞いていますが」ジャミルは口端を上げて挑発的に言う。「チッ。学園長め、余計な入れ知恵しやがって・・・・・・」レオナもジャミルをきつく睨みつける。

「3人とも、頼みますよ。オレたちの成功は、アンタらにかかってんスからね!」この作戦の肝である役目を任せられたラギーは、冷や冷やしながら言った。


「でも、ファッションショーに出るにしても素人ばかりですし・・・・・・少し不安ですね」
「・・・・・・大丈夫だ。俺に考えがある」


夜月の言葉を聞き、少し重く思案した後ジャミルは口を開いた。その言葉にジャミル以外は首を傾げた。ジャミルは少し出ると言い、オンボロ寮を後にする。残った夜月たちは、談話室でジャミルが帰ってくるのを待つことにした。