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「・・・・・・」

「・・・・・・」


ラギーは、目の前に立ち自分を見上げてくる夜月を、困った様子で見下ろしていた。かれこれこの状況になって、しばらく経つ。


「・・・・・・あのー、ヨヅキくん?」

「はい、なんですか?」


声をかければ返答はしてくれるものの、視線は合わない。夜月のきらきらとした視線は、明らかにラギーの頭部に注いでいた。

たまたま廊下で夜月を見かけたラギーは、何か用があるわけでもなく、なんとなくの感覚で夜月に声をかけた。それなりに付き合いも続いており、関係は良好だ。他愛ない話を続けていたところで、ふとラギーは夜月の視線に気づいた。ラギーの話を聞き頷いてはいるものの、視線は自分を見ていない。しかも、好奇心に満ちた瞳で見てくるのだ。


「えっとー・・・・・・オレの話、聞いてます?」

「はい、聞いてますよ」

「う、うーん・・・・・・」


いまだ、視線は頭部に向いている。きらきらとした、好奇心旺盛な瞳。何を考えているのか、どこかそわそわとした様子もある。


「・・・・・・あー、もう!」


しびれを切らしたラギーはそう言って、ガシリと夜月の両手を掴んだ。屈んで、そのまま夜月の手を耳に誘導する。「はい、これで満足でしょ」目を丸くした夜月は驚くものの、ふわふわとした感触に負け、目を輝かせながらラギーの耳をもふもふと触り始めた。「まったく、触りたいならそういえばいいじゃないスか」もう、と呆れるラギーに「す、すみません・・・・・・」と苦笑を零す。

しばらく夜月はラギーの耳を撫でまわした。それだけでなく、まるで猫を扱うように頭や頬、顎などにも手を滑らせて撫でていると、ラギーにとっては予想以上に気持ちよく、ピクピクと耳を動かした。「か、かわいい・・・・・・」思わずつぶやけば「かわいいは余計ッスよ」と少しムッとした声色で言われる。それもなんだか可愛くて「ふふ」と笑みを零した。


「っ・・・・・・はい、もう終わり!」

「え、あともうちょっと・・・・・・」

「ダーメ!」


屈めた姿勢を戻して、夜月の手からヒョイっと逃げ出す。身長差もあり、屈んでくれなければ手が届かない。しょんぼりとする夜月に向かって、ラギーは「シシシ! 次からはお触り料金取るッスからねぇ」と悪戯っぽく笑う。そんなラギーに「え、お金ない・・・・・・」と夜月はさらにしょんぼりとした。


「あ! じゃあ、今度ドーナツ差し入れします!」


良いことを思いついた、とでも言うように夜月は提案する。ドーナツと言う単語に耳が反応すれば「好きでしょう? ドーナツ」と夜月はニコリと笑いかける。「・・・・・・箱いっぱいじゃないとダメっス」少し負けた気がして、ラギーは子供のように言う。「じゃあ、いっぱい作りますね」それに対して、ニコニコと笑って夜月は頷く。

以降、たびたび箱いっぱいにつめたドーナツをふるまってラギーの耳を触っている姿が頻繁に目撃された。


お題箱から。ラギー絡みとモフるのを一緒にさせてもらいました。若干内容変わってますが、ご了承ください。ツイステを始めた当初、サバナクローを見て思いました・・・・・・ハイエナの耳って、大きくてめっちゃ可愛くない?