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024


「そこのお前の雷の魔法、その隣のヤツの運動能力。全部、全部ボクによこせぇ!」


「ひぃい〜っ!」アズールはあたりの生徒を手当たり次第に襲う。「アズールくん、みんなからナニを吸ってるんスか!? 吸われたヤツらが次々倒れていく!」アズールの周りには何人もの生徒が力を奪われ倒れ伏していた。「アイツのユニーク魔法、契約書を介さないと他人から全ての能力を吸い取っちまうようだな」レオナは冷静にアズールを見て分析する。「契約自体が、魔法の効果を制御する役割を果たしてたんだろう」そう言うレオナに「えぇ!? 怖すぎじゃないスか?」とラギーはぎょっとする。「そんな金術クラスの魔法、反動であっという間にブロットの許容量を超えるぜ」


「アズール! 貴方なにをしているんです!」
「うわ、なにこれ、どーなってんの?」


駆けよってきたジェイドとフロイドはアズールの様子を見て目を見開く。それに続き、エースとデュースやジャックやグリムと夜月もやってくる。


「げっ、なんだこの騒ぎ!?」
「こ、これは・・・・・・!」
「アズールが暴れてる・・・・・・のか!?」


「アイツ、寮生たちの力を無理やり吸い取ってるみてぇだな」アズールが次々に生徒を襲う姿を見て、ジャックが呟く。「レオナ! さてはオマエがいじめたんだゾ!?」グリムがレオナを指さす。「俺のせいかよ。お前らが契約書を砂にしろっつったんだろ」はあ、とレオナが息を吐く。


「ジェイド、フロイド。ああ、やっと戻ってきてくれたんですね」


「そこのバカどものせいで、僕の契約書がすべて無くなってしまったんです」ジェイドとフロイドに気づいたアズールが様子のおかしいまま笑顔を見せる。「だから、貴方たちの力も僕にください。ねえ、僕にくださいよぉ!」アズールは2人も襲おうとした。「お待ちなさい。貴方のユニーク魔法は強力すぎるゆえに、契約書なしには制御できないはず」ジェイドがアズールに強く言う。


「そんなことをすればどうなるか、自分が一番よくわかっているでしょう!」
「だって、なくなっちゃったんですよ、全部・・・・・・アハハ・・・・・・アハハハッ!」


「このままじゃ昔の僕に戻ってしまう!」いやだと嘆くアズールにフロイドは「あのさー、今のアズールって、昔のアズールよりずっとダサいんだけど」と言いやる。「あ〜〜、そうですか」眉間にしわを寄せたアズールは続ける。「どうせ僕は1人じゃなにもできないグズでノロマなタコ野郎ですよ。だから、もっとマシな僕になるためにみんなの力を奪ってやるんです」


「美しい歌声も、強力な魔法も、全部僕のものだ! 寄越しなさい、全てを!」


その瞬間、一気にアズールの周りに色濃い黒いものが広がった。「なんだよアレ? アズールの身体から黒いドロドロが出てきてる。墨・・・・・・じゃねーよな?」それを見てフロイドがジェイドに聞く。「ユニーク魔法の使い過ぎです。ブロットが蓄積許容量を超えている!」ジェイドは焦ったように続けた。「このままでは、オーバーブロットしてしまう!」


「あーっはっは! あーーっはっはっは!」


薄白い宝石が、黒い墨に塗りつぶされた。

黒いものに飲み込まれたアズールは姿を変えた。オーバーブロットしたときのリドルやレオナのように黒く染まったアズールは、下半身がタコに変化した。


「ふな"っ!? アイツ、足がタコになったんだゾ!」
「あれが、海の中でのアズールの姿です」


「あの後ろの何? オレでも絞められないほどデカイ!」アズールの背後にはオーバーブロットをして現れた負のエネルギーの化身が現れていた。大きな下半身がタコの影が、槍をもっていた。「今はアズールを正気に戻すことが最優先だ」レオナは前を見据え、腰をかがめた。「じゃないと、オレたちもイソギンチャクにされちまうッス!」同じようにラギーも腰をかがめた。

「取引しましょうよ。僕と取引しましょうよぉ・・・・・・」取りつかれたようにアズールは繰り返す。「いつものアズールとだったら取引してもいいけど、今のアズールとはヤだな」フロイドの言葉に「えぇ、同感です」とジェイドが頷く。2人もマジカルペンを構えた。

「そうやってみんな僕をいじめる! ボクがグズでノロマなタコだから?」戦闘態勢に入る彼らを見て、アズールは顔を両手でふさいで叫ぶ。「チッ、おい、1年坊ども。テメェらも加われ」後ろにいたジャックたちにレオナが言う。


「オレ様に任せるんだゾ!」
「えぇ、仕方ねえなあ!」
「早くオーバーブロットから正気に戻すぞ!」
「とりあえず、レオナ先輩の時みたいにすればいいんだな」


レオナに言われ、エースたちもマジカルペンを持ってアズールに向かって一歩出た。すぐ後ろにいた夜月は、そばに来たレオナに肩を掴まれ後ろに下がらされる。「お前は隅で1年坊の指示をしてろ。怖気づくんじゃねぇぞ、草食動物」ニヤリと口端を上げるレオナ。夜月は勿論だとでも言うように、不敵に笑い返す。レオナも満足そうにフッと笑い、アズールに向き直った。


「僕はただ、力を手に入れてアイツらを見返してやりたかっただけなのに・・・・・・!!」


「僕は・・・・・・僕はただ・・・・・・っ!」涙をためて繰り返すアズールに向かい、一斉に魔法を放ち始めた。