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VI


そして放課後、グリムと夜月は言いつけ通りに大食堂へとやってきた。そこにはまだエースの姿はなく、2人はエースを待つことにした。しかしなかなかエースは姿を現さない。


「もしかして、アイツ逃げたんじゃ・・・・・・!」
「うーん、あり得るなぁ」


エースならやりそうだなあ、なんて呑気に思っているとグリムはエースを探しに行くと言い出した。自分たちに全部押し付けるなんて許せない、と主張するグリムについていき、学園内を歩き回ってエースを探すことになった。入った教室の喋る壁画にエースの行き先を聞き、急いで各々の寮へと続く鏡がある場所へと向かった。エースはそこにいた。


「てめー、待つんだゾ! 1人だけ抜け駆けはさせねーんだゾ!」
「待てって言われて待つわけないっしょ! お先!」


背後から走ってくる夜月とグリムを見たエースは一目散に逃げていく。
エースの先には一人の男子生徒が歩いていた。「どういたどういた!」エースが駆け抜けていく。「えっ、お、おうっ!?」驚いてその人は駆け抜けていくエースを避ける。


「ごめんなさい、その人捕まえてくれません?!」
「人を捕まえる魔法!?」


夜月の言葉にびっくりする。「足を止める、いや、縄で拘束する? それとも・・・・・・えぇっと・・・・・・」突然の言葉に半ば混乱しながら頭を捻る。「何でもいいから!」「何でも!?」その人は宝石のついたペンを掲げ「なんでもいいからいでよ、重いもの!」と唱える。その瞬間、エースの頭の上に大鍋が降って一直線に落ちた。


「ナンダコレ!? 鍋!?」


グリムは仕返しとばかりに、大鍋の下敷きになったエースを笑った。大鍋を出した張本人は、まさか大鍋が出てくるとは思ってもいなかったらしく、やりすぎたかと心配になった。頼んでおいてあれだが、夜月から見てもすごく痛そうだ。


「あいたた・・・・・・」
「ごめんなさい、大丈夫?」
「いーじゃんかよ。窓ふき100枚くらい」
「それは、学園長命令だし」


2人の話を聞いていた手助けをしてくれた人が、不思議そうに何をしたのか問いかけた。今朝の出来事を話し石像を黒焦げにしてしまったといいえば、目を見開いて驚いて、罰を受けるのも当然だと口にした。


「・・・・・・つせーなぁ。つーかお前、誰?」
「僕はデュース、デュース・スペード。クラスメイトの顔くらい覚えたらどうだ? えーと・・・・・・」
「お前も覚えてねーじゃん」


エースの突っ込みにデュースは「うぐっ!」と言葉を詰まらせた。
それじゃあ掃除をしに戻ろう、としたその時。おかしいことに気づいた。煩いグリムが先ほどからずっと黙っている。エースと一緒になって辺りを見渡し、グリムの姿がないことに気づく。


「あんにゃろ〜、オレを身代わりにしたな!?」
「グリム・・・・・・」


また面倒なことに・・・・・・夜月は頭を抱えた。


「お前も手伝えよ、ジュース!」
「デュースだ! 僕は関係ないだろ!?」
「そいつ魔法使えねーんだよ、最期まで付き合えよ!」
「ごめんね、付き合わせて」


巻き込んでしまったデュースに一言謝り、3人はグリムを捕まえに走り出した。