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「#エロ」のBL小説を読む
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12


「くっ・・・・・・こんな囚人生活からは一刻も早く逃げ出したいのに、悔しいことにメシだけはメチャクチャ美味いんだゾ!!」
「よくわかんないけど、気に入ったなら良かったぜ。たくさん食えよな!」


寮に帰るとカリムはまた豪勢な朝食をふるまった。行進の疲れもあって、寮生たちはかき込むように料理を口に入れる。「ほら、ヨヅキもたくさん食って元気になれよ!」分け皿に乗せた食べ物をカリムは夜月に差し出す。それを受け取り、夜月もゆっくり口に含み始める。


「カリム。そう次々に食い物を口に詰め込むんじゃない。グリムが窒息する」
「おっと、ゆっくり食っていいんだぜ。まだまだあるんだから」


「今日は昨日食えなかったアイスクリームをデザートに用意してあるぞ。たくさん種類を並べて、でかいスプーンで好きなだけザクザクすくって食べるのがカリム流だ」そう言ったカリムに「スプーンでザクザク・・・‥?」とグリムは復唱した。「そうそう。いくら腹一杯でも、デザートは別腹だろ?」まるで女の子がよく言うセリフだ。だが、甘いもの好きの夜月にもよくわかる台詞でもある。


「今もってきてやるから待ってろよ」
「カリム、待て。オレが用意してくるから、お前は座ってろ」
「いいって。冷蔵庫から出してくるだけだろ?」
「馬鹿。主人に給仕させる従者がどこにいるんだ」


「お前はもう少しアジーム家の後継者としての自覚を持ってくれ」オレが父さんに怒られる、ジャミルはやれやれと続けた。「いいじゃないか、今は同じ学園の学生同士だろ?」首を傾げるカリムに「・・・・・・はぁ、それじゃあ、オレがさらに盛り付けるから運ぶのを手伝ってくれるか?」と妥協案を出す。「お安い御用だぜ!」


「よし! 今用意してくるから少し待ってろよ!」


カリムとジャミルは立ち上がり、談話室を後にした。「オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ」カリムがいなくなったところで、グリムが口を開く。「今のカリムは人の話を聞かないけど、悪いヤツじゃねぇ気がするんだゾ」グリムの言う通りだ。昨日や今朝のカリムは一体何だったのだろう。そんなことを考えているとドタドタと廊下を脚る音がして、目を向ければ談話室の前にカリムが立っていた。


「おい、お前たち・・・・・・いつまでメシを食ってるつもりだ! 王様にでもなったつもりか!?」


カリムの言葉や様子に寮生全員がギョッとした。また戻ってる。「今すぐ食器を片付けろ! すぐに午後の特訓を始める!」カリムの言葉に従い「は、はい・・・・・・っ!」と寮生たちはいそいそと動き始める。「ヒィ・・・・・・また怖い方のカリムになっちまったんだゾ!」情緒不安定っていう域じゃない。全くの別人だ。


「ヨヅキたちも逃がさないぞ。今日は夜までみっちり防衛魔法の特訓だ。さあ、庭に出ろ!」