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「あの男も、どうやら此処にいるようだ。見つかる前に本を探すことを優先しよう」

「わかったわ」


アリーナに転送された途端、気配を察知するランサー。彼の言う通り、見つかる前に本を探し出したほうが良いだろう。
敵性プログラムを次々に倒し、奥へ奥へと進んでいく。数日前よりは力が戻ったらしく、少しずつだけど力は回復しているようだ。

迷路のような通路を進んでいた途中、不意に足を止めた。そして辺りを見渡す。
「どうかしたか、マスター」とランサーが問いかける、

確か、此処に何かあったはずだ。心の中でそうつぶやく。
此処は二層。まだ来たことはないはずだが、此処に何かがあると囁いてくる。とある壁の前に立ち止まり、壁に向かって片足を出すと道が現れた。
隠し通路だ。


「よく見つけたな。あの男の事だ、隠し通路の先に隠したにちがいない」

「行ってみましょう、ランサー」

「あぁ」


隠し通路を進むとひらけた場所に出た。その部屋にはこれ見よがしに四角いブロックの形をしたファイル。断言はできないが、これが隠蔽した本だろう。
手をかざしてファイルを開く。中から出てきたのは古ぼけた手記だった。どうやらこれが必死に隠したがっていた文献のようだ。

手記を開いて中身を読むが、古いせいか文字がぼやけていてあまり読めたものではない。が、いくつかの船や島の名前らしきものは読み取れた。


「航海日誌、だろうか……」

「なるほど。これがあれば、あのサーヴァントの真名を見つけることができそうだ」

「えぇ」


手記をしまい、さらに奥へ進む。
彼のあのファイルは強固だった。当然、開けば彼に伝わるだろう。
そんな予想を立てていると、奥の方からこちらにめがけて走ってくる慎二とそのサーヴァント。予感は的中だ。


「悪いけど、それ返してもらうよ」

「さすがに焦っているようだな。余計なことをせず、口を閉ざしていれば情報は洩れなかっただろう」


的中かつ正論で包み隠さない、直結な言葉。
はっきりと告げられ、彼のサーヴァントは笑い、彼は顔を真っ赤にして怒りを露わにした。


「な!? サーヴァントの分際で! ねぇ、早くやっちゃってよ!!」


その言葉を合図に、戦闘は始まった。

相手サーヴァントの情報を以前より入手しているせいか、前回より相手に傷を負わせている。
慎二のサーヴァントは砲撃を放った。船の大砲が辺りに出て打つ。ランサーは予想をしていたのかそれをかわし、応戦する。
やがてセラフの介入で戦闘は強制終了された。

傷を負わされるとは思ってもみなかった慎二はうろたえ、彼らしい捨て台詞を口にすると、早々にアリーナから撤退した。


「海賊、航海日誌、砲撃……乗り物によって力を発揮するサーヴァントに近いだろう。恐らく、あのサーヴァントはライダーだ」

「確かに……今まで集めてきた情報すべてが船に共通する。間違いなくライダーね」


今までの情報をすべて繋ぎ合わせ、考えるとその結論に至る。
今日はかなり良い収穫をしただろう。


「どうする、マスター。手記は手に入れたが」

「もう少し、トリガーを探したいの。怪我は平気?」

「問題ない。この鎧がある限り、俺が受ける損傷は十分の一にしかならん」

「え?」

「……いや、何でもない……」


それ以上は口に出さないと彼は口をつぐんだ。
嘘をつけば騙せたものの、彼はつく気がなく妙な間を開けるから逆に怪しくなってしまう。
しかし、だからと言って無理に聞き出す気はない。


「そう。それじゃぁ行きましょう」

「あぁ」


マップのいたるところを探り、必然的にトリガーを見つけて学園に戻った。




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