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Tournament match, First game


とうとうトーナメント戦が開始された。
出番のない人たちは観客席へ行き、次の試合に出る人は控室で待機していた。
夜月は第五試合。切島の隣に座らせてもらい、その後ろの席には爆豪、空席をおいて瀬呂と、騎馬戦のメンバーで意図もなく集まって座っていた。


一回戦、第一試合――緑谷VS心操。

心操の個性は『洗脳』。尾白が試合前に注意したと言っていたが、乗せられて緑谷はそれにかかった。自ら洗脳で場外に向かったが自分の個性で衝撃を起こし、なんとか耐えた。
結果、緑谷は我に返り勝利。


第二試合――轟VS瀬呂。

瀬呂は勝てる気もないが負ける気もなく、気合を入れていたが、スタートと共に轟が圧倒的量の氷を放出した。それは観客席をかぶり、外からでも見える高さまで。
それに捕まった瀬呂は身動きが取れず、勝者は轟。
轟は左手で氷を溶かし始めた。

みんな、黙って驚くか感嘆の声を漏らしていた。あんなもの、見たことがない。


「……轟、機嫌悪いわね……」


ふと、いつもと雰囲気の違う轟を見て夜月が呟く。最近も様子は違ったが、さらに尖ったような雰囲気だ。


「あ? どういう意味だ」

「あぁ、いや。確信はないけど、そう思っただけ」


後ろにいる爆豪に問われ、目線を向けずにそう返した。


第三試合――上鳴VS塩崎。

その名の通り、少々舐めてかかった上鳴が瞬殺された。実況でも二度言われた。
許容範囲を超えた電撃を放ったため、おかしな様子で運ばれた。
勝者は塩崎。

速攻勝負は終わり、観客席に瀬呂が戻ってきた。


「お疲れ様、瀬呂」

「おつかれー」


同じ場所に瀬呂は腰を下ろし、夜月に続いて切島が声をかけた。


「あー、瞬殺されるとは思わなかった……」


はは、と苦笑をする。
すると、第四試合の飯田と発目が登場してくる。それを見ると夜月は控室に行くため、立ち上がった。


「あ、控室行くのか?」

「えぇ、じゃ」

「頑張れよ、瓦楽」

「負けたら殺す」

「なんで……それじゃ」


夜月は控室に行くため、その場を後にした。
第四試合は長引き、終わったころにはやっとか、と呟くほどだった。


第五試合――瓦楽VS青山。

マイクの選手紹介を耳に入れながら、ステージへと進んでいく。
目の前の青山は自信満々に、いや、いつものように笑っていた。青山の紹介が終わると必然的に夜月の紹介へと入る。


「さぁ続いて! なんと個性を二つ所持!? 『想像』と『言霊』を操る瓦楽夜月!!』


個性を盛大に言ったわね……まぁ、バレてしまったしいいけど。
一方、A組の観客席では峰田が盛大に願望を叫んでいた。


「青山やっちまえぇぇ!! そんで、お前のビームで瓦楽の服を粉々にぃぃぃ!!!」

「ちょ、峰田!?」

「クソだな」


「スタート!!」


合図とともに、青山は個性のビームを放ってくる。夜月は一直線に進むビームを楽々とかわしながら青山との距離を詰めた。
彼は長時間ビームを放つことはできない。お腹が痛くなるらしい。

それが来たのか、連続していたビームがやんだ。その隙を狙って夜月は影の鎌を具現化させる。


「もらった!!」


ベルトに直撃し、そのまま勢いに乗って場外へ飛んでいく青山。
壁まではいかなかったが、勢いが落ちて地面に直撃。


「青山くん場外! 瓦楽さん二回戦進出!」


ミッドナイトが判定を下すと、観客から歓声が広がる。
ふぅ、と息を吐いて辺りを見渡すとA組の人たちが視界に入る。数人が笑顔で「やったな!」と伝えるように手を振っており、夜月も笑顔で振り返した。


第六試合――常闇VS八百万。

常闇の黒影を具現化させた盾で八百万が防御。そのまま押しのけられ、彼女が気付く間もなく場外。その個性は思考を使う。だから気付かなかったのだろう。
勝者は常闇。

丁度終わったところで夜月が帰ってくる。


「おかえり夜月、一回戦おめでとう」

「ありがとう、耳郎」


試合は? と聞くと終わったらしく結果を聞く。
先ほど座っていた席に腰を下ろすが切島が隣にいなかった。次の試合のため、おそらく控室に行ったのだろう。


「あ、いってらっしゃい。勝己」


立ち上がった爆豪にそう言うが、応えることなく歩いて行ってしまう。
夜月は気にすることもなく、目線をステージに移した。


第七試合――鉄哲VS切島。

まさか、紹介でも「ダダ被り」と言われてしまう二人。『鋼鉄』と『硬化』。どちらも譲らず殴り続けた結果、両者ともに倒れる。
ミッドナイトが確認に近寄ると、引き分けと判断。引き分けは回復次第、腕相撲で勝負するらしい。


「次、ある意味最も不穏な組ね」

「ウチなんか見たくないなー」


蛙吹と耳郎がそう零した。周りも少し、重々しい表情をする。


第八試合――麗日VS爆豪。


「スタート!」


開始のアナウンスと共に、麗日が速攻。真っ直ぐ爆豪へと走る。そして、それを爆豪は容赦なく迎撃。
煙幕の中浮かせた上着をダミーにし麗日は背後を取るが、えげつない反応速度で爆豪くんは対処。

何度も何度も麗日さんは突撃を続ける。そのたび爆破。


「爆豪まさか、あいつそっち系の……」


耳郎が目を塞ぐ。
麗日だけがぼろぼろになっていく。そしてガヤガヤと観客が騒ぎ出す。


「おい! それでもヒーロー志望かよ! そんだけ実力あるなら早く場外にでも放り出せよ! 女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!」


どこかからブーイング。
それに賛同するものが何人か現れ、ブーイングをしはじめた。


「あとで殺しに行きましょうか」

「夜月ちゃん、口調が爆豪くんみたいになってるわ」


静かに怒った夜月が冷静に、淡々と告げ、蛙吹がそう言った。
すると、相澤の怒気を含んだ声が流れ始める。


「シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろうが」


麗日がぴたっと両手の指を合わせる。そして上空から彼女が浮かせた、爆破によってうまれた無数の瓦礫たちが降りそそぐ。彼女の渾身の捨て身な策。
しかし、爆豪はそれを大爆破で粉にする。それでも、彼女は彼の方へと挑みにかかる。もう限界なんて、越えているはずなのに。

かくりと膝から崩れ、地面に倒れる。その目はまだ彼を見ている。けれど、彼女の体は動かない。
勝者、爆豪。


第一回戦目は幕を閉じ、小休憩を挟んでから引き分け戦と第二回戦が開始される。