06*今日のオススメはサバの味噌煮定食です。 >>

「なんか、元気出たわ。」

一通り笑い切ったカカシさんは、手元に置いてある花束を見ながら、静かにそう言った。

「お花、花瓶に入れますね。」

そっと花束を抱えて、水を入れるために病室を出る。
思い切り笑い飛ばされた私の気持ちは、少し腹は立ったけどなんだかスッキリしていて、あの2週間はなんだったのだろうと思った。お見舞いに来て良かった。カカシさんの笑顔が見れて良かった。あんなに、笑うとは思わなかったけど、、、。

花瓶に水を入れて病室に戻る。枕横の小さな机に置くと、真っ白い部屋が一気に華やいだ。

「アイリちゃん、俺、明後日には退院なんだ。」
「えっ!そうなんですか、良かったですね。」
「そしたらさ、店、」
「カカシーーーーーーッ!!!遅くなってすまなかったなあーーーーーーッ!!!」

カカシさんが何かを私に告げる前に、病院らしからぬ大声で入ってきた人物にシャットアウトされてしまった。びっくりした私がカカシさんを見やると顔を手で覆って呆れていた。

「、、、ガイ、うるさいよ。」
「ああッ!すまないカカシ。お邪魔だったようだな!」
「ほんと、邪魔。」

"ガイ" と呼ばれた濃ゆい忍さんに呆気にとられていると、すでに口布をしたカカシさんに「ごめんね」とそっと言われた。

「噂は聞いているぞ!アイリちゃんだろう!」

おやっさんよりキランッという効果音を放つ笑顔をする人を初めて見た。こんなに大声で濃ゆいのに忍とは。どこをどう忍んでいるのだろうか。

「は、はあ、そうです、、、う、噂、、、?」
「はっはっはっは!緊張するな!カカシは俺のライバルだからな!良いヤツだぞ!」

ビッと親指を立てた拳を突き出され、思わず後退りしてしまう。答えになっていない返答から、「それでなあ、」となぜだかカカシさんを褒め称える言葉ばかりを訴えかけるガイさんに何も答えられない私。カカシさんを見ると "やめてくれ" と顔に大きく書かれていた。

「よし、カカシは元気だということが分かったからな!じゃあ、俺は帰る!」
「あー、もう、ほんと帰れ帰れ。」

怠そうにカカシさんがしっしっ、と手を払うと、最後まで声のボリュームを下げなかったガイさんは嵐のように去って行った。

「び、びっくりしましたね。」
「いつもなの。あれ。ごめんね、ほんと。」
「い、いえ、、、」

カカシさんといると、忍さんというのはみんなこんな風なのかと思っていたけど、違う。カカシさんはカカシさんで、やっぱりカカシさんの雰囲気が好きだ。

「じゃあ、私もそろそろ帰りますね。」

ガイさんも帰り、日も暮れ始めたので、私はスッと立ち上がってそう言った。
すると、手に、暖かい感触。

「え、あ、カカシさん、?」
「あー、と、待って。」

ちょっと俯いたカカシさんの表情はよく分からない。ただ、カカシさんの手がすごく熱くて、私の身体まで伝染してしまうのではないのかと思った。

「ガイが、来たから言いそびれたんだけど、」

ガイさんの熱気に全部を吹っ飛ばされた私の頭に、カカシさんとの会話が続きだったことが思い出される。

「俺、明後日退院なの。そしたらさ、アイリちゃんの店、行くから。」

そう言うと、カカシさんは私の手を掴んでいた手をパッと離した。

「またね。」

にっこりと、いつもの笑顔を向けられる。カカシさんが掴んでいたところが熱い。

「わ、分かりました。待ってます、ね。」

なんとか答え、私は病室を後にした。病室のドアを閉めると、私は深い溜息をついた。もっと重たいことを言われるのかと思った私は、カカシさんの言葉に拍子抜けしたのだ。
いつも通り、っていうことだよね、、、?








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