02*今日のオススメはオムライスです。 >>

「いってきまーす!」

お客さんがもうすぐ夕飯を求めにやって来る頃、おやっさんにおつかいを頼まれた。メモとお金を握り締め、元気良く挨拶をすると私は商店街へと向かった。

「お、アイリちゃん!今日は真っ赤なトマト入ってるよ〜!」
「わあ、おいしそうですね!でも今日はレタスです!!」
「レタスね〜1番良いやつ入れとくから!」
「ありがとうございます!」

袋に入ったレタスを受け取ると中に赤いものが。

「あれ、トマト!」
「おまけおまけ!アイリちゃんにおいしいトマト食べてもらいたいからね〜」
「うわあーっありがとうございます!」

食べるのはお客さんかなあ、と思いつつ、八百屋のおじさんの好意をありがたく受け取る。よし、あとは魚屋さんだけだ。魚屋さんで買うものをメモを見て確認していると、自分を呼ぶ声に気付く。

「アイリちゃーん!」
「あ!お肉屋のおばさん!」

おつかいにも慣れたもので、嬉しいことに私の顔を商店街の方々は覚えていてくれて声をかけてくれるのだ。おまけもいただけるのでありがたいのだが、ここのお肉屋さんに捕まると厄介だ。おばさんの世間話はいつも長い。

「今日はお肉はいらないの〜?」
「この間たくさん買ったので大丈夫ですよ!」
「あら、そう〜。あっ!そういえば聞いてよアイリちゃん!」
「はい?」
「この間夜に出かけたらひったくりに遭っちゃってね〜」
「えっ!大丈夫なんですか!?」
「そしたら、はたけカカシって知ってる?コピー忍者の!あの人がたまたま通りかかってねえ!捕まえてくれたのよ!」
「こ、こぴーにんじゃの?」
「そうよー?知らない?コピー忍者のカカシ!木ノ葉じゃ有名よー!他には写輪眼のカカシ、とか木ノ葉一の業師とか言われてるわね!一般人でも知ってるくらいなんだからほんとにすごい人よ〜!あんたもそれくらい覚えときなさいっ!」
「は、はあ、、、。ありがとうございます」

私がそう答えたところで、コロッケを買いに来た奥さんにおばさんは顔を向けた。
さーっと血の気が引いていくのが分かった。まずいことになった。これは恥ずかしいの域を超えたのではないだろうか。昨日の昼、私がドヤ顔で話していた話題の人物は目の前でBランチの豚カツを食べていた忍さんだ。

なんとか魚屋さんで買い物を済ませてお店へと戻る道を進むが、頭の中にあるのは昨日の失態とカカシさんの顔。どう思って聞いていたのだろうか。バカだなあ?どう名乗り出ようか?考えただけでも恥ずかしい。困った顔をしていたのは私のせいだ。次、どんな顔をして会えば良いのだろう。
今日のディナータイムのお客さん達に元気がないねとちょっかいを出されたけど、やっぱり私は明日のお昼にカカシさんが来るかどうかのことしか頭になかった。








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