うちは一族と言ったら木ノ葉隠れの里で知らない人はいない。どうして有名なのかと言ったら、一族みんなが容姿端麗、成績優秀の名門一族だからだ。そんな名門の血など微塵も流れずに平々凡々と生きてきた私が、何故この由緒正しきうちはの家の扉の前にいるのかと言うと、まあ、それは、

「ええーっ!今日は手裏剣の稽古してくれるって約束したじゃないか!」
「すまないサスケ。今日は大事な用があるんだ。」
「この前もそう言って稽古つけてくれなかったろ!」

場違いな扉を前にして緊張でノックするのを躊躇っていると、中から小さな兄弟喧嘩が聞こえた。私の恋人のイタチくんと弟のサスケくんの声だ。
今日はイタチくんが久しぶりに丸一日お休みで、私も任務が無いとい言う一日中一緒に居られる奇跡的な日なのだ。楽しみすぎて早く家を出てしまった私は、少しでもイタチくんに早く会おうと集合場所からイタチくんの家まで近付いて行くとなんとまあうちは家の目の前まで来てしまったのだ。(近付くだけにしようと思ったのに。)
兄弟喧嘩が少し静かになったと思ったら、ガラリと扉が開いたので私は思わず「わあっ」と声をあげてしまった。

「アイリ!すまない。迎えに来てくれていたのか。」
「えっ、あ、いや、早く家を出てしまったから・・・」
「そうか。じゃあ、行こうか。」

イタチくんはにこりと私に微笑むと、振り向いて「行ってくる。」とサスケくんに手を振ったのだけれど、サスケくんの目はそんなイタチくんを越え、私を思い切り睨みつけた。


****

「アイリ、今日は甘栗甘が新作を売り出す日なんだ。」

うちは家からイタチくんと肩を並べて街へ歩き出すと、目を輝かせてイタチくんがそう言ったので、私は笑顔で「ずっと前から楽しみにしてたもんね。」と答えたが、私はやはりサスケくんのあの鋭い目が頭から離れない。

「あのさ!イタチくん!」
「どうした?」
「サスケくんと約束してたんじゃないの?」

私が不安そうにそう言うと、イタチくんはふわりと笑った。

「いいんだ。サスケは毎日会えるからな。アイリと一日中会えるのは久々じゃないか。」
「そうだけど・・・サスケくんにすごく睨まれちゃったから・・・」

やはり。サスケくんが私を睨みつけたことには気付いていなかったようで、イタチくんは驚いた顔をした。

「そうだったか・・・すまない。」
「いやいや!いいのいいの!ただサスケくんもイタチくんのお休みの日を楽しみにしてたんじゃないのかなって!」

イタチくんの申し訳なさそうな声に、私は思い切り首を振った。

「も?」
「え?」

私の言葉を聞くなりニヤリと口角をあげるイタチくん。

「アイリ "も" 楽しみにしてくれていたのか?」
「えっ!あ、それは、そりゃあ、えっと、」

イタチくんのいやらしい笑みに、私は思わずどもってしまう。

「そうか。それは嬉しい。俺も楽しみにしていた。」

イタチくんの微笑みに私が顔を赤らめると、はは、と笑い声が飛んで来た。

「次はサスケも一緒に連れてきても良いか?流石に約束を延期にしすぎた。」
「もちろん!サスケくんにもちゃんと好かれないとね!」
「・・・なんでだ?」

私の言葉にイタチくんは少し顔をしかめた。

「そりゃあ、サスケくんに嫌われたらうちはのお嫁、に、」

そこまで言ったところでとんでもないことを口走ってしまったことに気付いた私の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

「お嫁にいけないって?」

イタチくんがまたニヤリといやらしく笑った。

「えっと、あの、それは・・・!」
「まさかアイリにプロポーズされるとはなあ。」
「いやっ!プロポーズっていうか、違くて、いや、違くないんだけど!」

焦る私に可笑しくて仕方ないといった顔のイタチくん。ひとしきり私をからかうと、ぽん、と大きくて綺麗な手を私の頭に乗せた。

「じゃあ、次の休みはサスケも交えて出かけようか。」
「う、うん!」
「きちんとサスケにも気に入ってもらわないとな。」
「うん!」

ふわりと笑ったイタチくんの顔はやっぱりとっても綺麗だった。
早く休みにならないかな。



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