小説 | ナノ


ぽぽりり


「リリー。僕は、君の事が好きなんだ」

言った。
ついに告白してしまった。
引かれるだろうか、軽蔑されるだろうか、それとも友達としてと捉えられるだろうか。
いずれにせよ、僕の欲しい答えは返ってこないだろう。
リリーは頬を真っ赤にしながら恥ずかしそうに驚いている。
その表情を見て、友達として好きと言う事には捉えられなかったらしいと安堵すると同時に、すごく可愛くて余計に頬が赤くなった。
リリーは少し口をぱくぱくさせた後、ひとつ深呼吸をして左右違う色の違う綺麗な目で僕の目をまっすぐ見つめ

「me too、なのです……!」

と言った。

「…………え……?」
「え、じゃないのです!言ってきたのはたんぽぽなのです!」
「え、あ、だ、だってリリーは、駿河先生が好き、なんじゃ」
「what?何の話なのです?」

え、あれ、だって、リリーは少し前に僕にそう言ったはずだ。
僕を好きだなんて、そんなわけがない。

「ほ、ほんとに僕の事が好きなのか?likeじゃなくて、」
「もう!怒るのですよ!私はme tooって言ったのです!loveに決まってるのです!」その言葉を聞いて、泣きそうになる。
玉砕されるのが分かってて言ったのに。
まさか好きといってもらえるなんて。
ああ、今なら死んでもいい。
本気で、そう思った。



ピピピピピピピピ
目覚まし時計がけたたましく鳴り響いた。
目を覚ました僕は布団から這い出て一度目覚まし時計を叩き、音を止める。
時間は五時。目覚ましをセットし間違えたようだ。
しかしそんなことよりも、今すぐ死にたい。
割と本気で、そう思った。
何て言う夢を見てるんだ僕は。
というか夢の中の僕はついに言ってしまったじゃない。
一生告げるつもりなんてないのに、なんてことをしてくれてるんだ。
夢だから良かったものの夢じゃなかったらどうしてくれるんだ。
めちゃくちゃなことを言いつつ、頭の中で夢の自分を責める。
だけど、夢と言うのは願望の現れとも言う。
つまり僕はリリーと付き合いたいと思っているのだ。
いやもちろんそれは当然のことだが、問題はリリーの駿河先生に対する想いが夢の中でなかったことになっていることだ。
そんなの、リリーに対する侮辱だ。

もう一度布団を頭からかぶり直す。
二度寝する時間は十分にある。
自己嫌悪に陥りつつ、今度はちゃんと振られる夢を見るように祈りながら眠りについた。

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