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千代のやりたい事2


少し走ると血の臭いが鼻をついた。時折血を吐いてしまうので、千代は血の臭いには幾分か慣れている。それでもこの血の臭いは胸騒ぎのする、とても嫌な臭いだった。
また少し走って、ようやく先程千代が倒れ、緑髪の妖怪達が争っていた場所へと辿り着く。その瞬間に千代の嫌な予感とただの推測は、確固たる事実へと変わった。
先程妖怪を気絶させた場所に血溜まりが。その近くには墓が。墓の周りには綺麗な花が咲いており、墓前には彼がつけていたはずの面があった。
これだけで何があったかなど容易く分かる。千代は式神から降りて、ふらふらとした足取りで墓へと近付く。ようやく墓前へと辿り着いてすぐに膝から崩れ落ちた。

「ごめんなさい……、ごめんなさい、ごめんなさいっ……!」

それ以外の言葉は出てこずに、ただひたすらに涙を流しながら墓の下で眠っているであろう緑髪の妖怪に繰り返し謝罪をする。許してもらいたいわけではなく、ただ本当に何も出来ないどころか、殺す手助け同然の事をしてしまった罪悪感で何度も何度も謝罪の言葉を繰り返した。
十数回目の謝罪の言葉を口にしようとした所で、千代の視界がくらりと揺れた。倒れそうになるのをなんとか腕で支えて頭を抑える。どうやら泣きすぎたようだ。頭が痛む。呼吸も少しおかしくて、このままだと過呼吸になるかもしれない。
けれど、ここで倒れる前に千代にはしたいことがあった。もう一人の緑髪の妖怪を探すことだ。彼を探し当てて、どうして彼を殺したのか、殺す以外に方法があったんじゃないのか、色々と聞きたいことが千代にはあった。
まだ痛む頭をおさえながらもう一度式神に乗ると、式神はすぐに走り出した。

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