今までの貴方、これからの僕12 | ナノ
先輩の子供の頃の写真を見せてもらった。
そこには、僕の知らない先輩が沢山いた。小さい先輩も、ものすごく可愛い。まだ髪もそんなに長くなくて、幼さの残るあどけない笑顔。
…この時の先輩に会えたら良かった。


「…これって、七海先輩と東月先輩ですか?」
「うん。幼稚園の時から一緒だから、殆ど3人で写ってるでしょ?」

あぁ、この2人は僕の知らない先輩と一緒に過ごしてきたんだ。そう思うと、どうしようもない事と分かっていても、悔しい。この2人と写る先輩は、どれも笑顔に溢れていた。

「今でも哉太が良く写真をとってくれるの。だからアルバムが増えちゃって。」
「先輩の部屋に、沢山ありますもんね。」
「ちょっと増えすぎて、置き場所に困っちゃうけどね。」

今まで先輩が過ごしてきた、大切な、大切な思い出たち。まだまだ僕の知らない先輩が、そこにはいる。先輩の机の上には、幼馴染4人との写真と僕の写っている弓道部の皆との写真が飾ってあった。そうやって思い出は、積み重なっていく。これからの先輩と僕の写真も増えていけばいいな、そう思った。

「これからは、僕とも写真とりましょうね。」
「うん!そうだね。」
「…いつか歳を重ねたとき、見返すのって何だか良いですよね。」
「ふふ。…じゃあ、それまでずっと一緒にいてね。」
「もちろんです。ずっと離しませんから。」

そう言ったら、返事の代わりに笑ってくれた。

さっき見た写真の中学生の先輩と、同じ笑顔だった。