雨音、しとしと。(颯月) | ナノ

しとしと降る雨は、まだまだ止みそうにない。淀んだ空から次々と落ちる雨を見てると、だんだん落ち込んでくる。別に雨が嫌いなわけではない。(雷は嫌いだけど)今日は久しぶりに外へデートしようと、颯斗君が誘ってくれたのだ。



「…雨、止みそうにないですね。」
「颯斗君…、残念だけど、外は無理そうだね。」


ここは、颯斗君の部屋。止んだら出かけようと、部屋に呼ばれていた。もう何回とお邪魔しているけど、やっぱり他人の部屋は慣れないもので、ちょっと落ち着かない。


「今日は、僕の部屋でゆっくりしましょうか。」
「うん。外はまた今度だね。」
「…どっちかと言うと、僕は部屋で一緒に過ごす方が好きですけどね。」



ふわっと、浮いたかと思ったら抱きかかえられて、ベットに連れてかれた。ベットからは、颯斗君のにおいがして、ドキドキする。


「だって、貴方に好きなように触れていられるじゃないですか。」
「だからって、ここじゃなくてもっ。」
「おや?いつもと違う場所がいいんですか?」
「そ、そうじゃなくて!」

「ふふ、冗談ですよ。そんなに警戒しないでください。」
「じゃあ、どいて?」

何故か、覆いかぶさるようにベットへあがってきた。あぁ、このパターンは不味い。


「…それは、無理なお願いですね。」
「颯斗っ」
「しー…、もう黙ってください。」

紳士なようで、彼は黒い部分があると思う。すごく楽しそうな彼の顔を見て、最初からこういうつもりだったのかな、なんて思ってしまったり。


「何のことでしょう?」
「え?」
「月子さん、全部口に出してますよ。」

そう言って口をふさがれた。
もうそんな事、どうだっていいか。
なんて、まだ雨の降る外を窓から眺めた。




もう聞こえない。