シスターは、愛を乞う(誉月) | ナノ
あの学園と言う小さな世界で、私はまるで聖女のように崇められていた。私はそんなに清くて、美しい人間ではないのに。それでも、どこかで周りに合わせて、行動していた面もあった。私自身、皆の思う女性像を壊そうなんて思って無かったし、何より彼が必要としてくれる人でありたかった。神様のように微笑む彼の隣にいるためには、それに
似合う笑みが出来なければ、行動しなければ、と思っていた。


神に恋をするなんて、おこがましい。彼が与えてくれる愛は、その優しさからだというのに。



「君に想ってもらえる人は、本当に幸せだね。」

ほら、神様は気がつかない。
図書館の机に向かいあって座っている彼の方を向く。机の上のノートと本を見ていた。会話をしていても、きっとこのまま目なんて合わないだろう。それでも私は、こっちを向いてほしいのです。



「本当にそう思っていますか?」



あ、目があった。

「神様は本当に意地悪ですね。」

私は今出来る一番の微笑みを返した。
シスターは、を乞う。

神様は愛をくれますか?