シュガースプーンにひとさじ(颯月) | ナノ
食堂のおばさんから貰った紅茶をいれた。牛乳で入れると、まるで彼女の肌のような色になった。このまろやかな色が彼女にあっている。


「はい、どうぞ。」
「ありがとう、颯斗君。…あれ?今日は颯斗君もミルクティー?」
「ええ。なんだか、そんな気分だったんです。」
「ミルクティーもなかなか美味しいんだよー。」


そして、彼女は嬉しそうに、角砂糖を2つ入れた。彼女はいつも甘いミルクティーを飲む。僕はいつもストレート。だから、いつも美味しいのかな、と興味はあった。…まるで貴方のような、その優しい色が。


「でも僕、砂糖は大丈夫です。」
「入れてみると、美味しいよ?」

"結構です"と言って、砂糖なしのミルクティーを口に含んだ。いつもより優しい味がした。…うん。ミルクティーも悪くない。


「…ミルクティーも良いですね。」
「ね。美味しいでしょ?」
「はい。」


体に温かさが広がっていく。
あぁ、彼女はいつもこれを飲むから、こんなにも優しく、ふんわりしてるのか。そんなことを考えて、僕らしくないと止めた。

砂糖なんかなくたって、貴方が微笑むと空気が甘く感じるから、いらないんですよ。