White Day | ナノ
錫也からのまるでパティシエのような出来の、タルトタタンを貰ってから早一ヶ月になろうとしていた。ホワイトデーが近付いている。私と錫也はいわゆる逆チョコで、バレンタインデーに錫也から貰う。ホワイトデーは、私のお返しの番。

私はそのお返しに困っていた。
きちんとしたものを、あげたかった。しかも今年は、恋人同士。昨年とは、わけが違う。手作りでお返しが出来るほど、料理が得意ではない。寧ろ苦手だ。本当にどうしたらいいんだろう。

「…眉間に皺なんかよせて、どうした?」
「へ?ぁあ!!錫也!!」
「どうしたんだよ、そんなに慌てて。」
「な、何でもな…。」
(不味い。錫也は勘が鋭いから…。)

内心ビクビクしながら、錫也と顔を合わせる。じーっと見られたかと思うと、ため息をつかれた。

「お前が何にも、って言うなら良いけど。」
そう笑って、席へ戻っていった。…気づいて、ない?きっと大丈夫。早く考えないと、ホワイトデーが来てしまう。

(よし。放課後、会長に休みをもらって街へ行って、探そう。)



ホワイトデー、当日。
やっぱり思いつかなかった。私は錫也に謝ることになるのだけれど、何故か錫也は嬉しそうだった。理由を教えてはくれなかったけれど。

(だって、その間ずっと考えてくれてたんだろ?俺のこと。)





Happy Whiteday!!
2011.3.31  綵
*だいぶ遅れてしまいましたが…。