やっぱり君には敵いそうもない(誉月) | ナノ


「はい、あーん。」


私、夜久月子は今選択を迫られている。
嬉恥ずかし、誉さんからの“あーん”を甘んじて受けるか、いやいや恥ずかしいです、と拒否するか。

いくら公園でお昼を食べる人が少ないからって、いないわけじゃない。目の前の誉さんは、ものすごく嬉しそうだし…。私は目の前に出された、タコさんウィンナーを見る。あぁ、どうしよう。

「…もしかして、タコさんウィンナー嫌い?」
…違います。論点はそこじゃないんですよ、誉さん。
「いえ、そういうわけじゃ…。」
「ふふ、良かった。遠慮しなくていいんだよ?」


…私は意を決して口を開けた。
(前にもこんなことあった気がする。)


口に入れてもらった、タコさんウィンナーはあの時と同じ味がした。
「どう、おいしいかな?」
「はい、とっても。」
そう言ったら、こんなこと前にもあったね。と言われた。


「あ、誉さんも覚えていてくれたんですか?」
「もちろんだよ。あの時の真っ赤になった月子さん、可愛かったなぁ。」
「!!」


あぁ、穴があったら入りたい。
本当にこの人には、敵わない。

「あ、この卵焼きもどうぞ。」

…もう勘弁して下さい。


やっぱり君には敵わない。