カラメル・ドルチェ(錫月) | ナノ
今年は何を贈ろうか。それを考えるのも楽しい。一番の楽しみは、月子の笑顔。
バレンタインデーは、女の子だけのものじゃないと思う。現に外国では、男が女の人にプレゼントするわけだし。月子と俺の場合も、男の俺の特権である。

月子は学園のイベントで、色々と忙しい。だから、俺は月子にあげる側に立つ。この役割は、俺以外にない。(…オカンって言うのも、あるだろうけれど。)
バレンタインに月子にプレゼントを作ってあげられるのは、俺だけの特権だ。


「今年は何にするかな…、ガトーショコラは作ったし。」
レシピを捲りながら、思案する。どうせなら月子が驚くものがいい。
あの瞳をキラキラさせて、喜ぶ顔がたまらなく好きだ。俺が作ったものを、口に入れたときに浮かぶ、至福の顔。あれはきっと俺しか知らない。


『羊君のくれた、タルトタタン。すっごくおいしい!!』

先日、茶菓子に羊が買ってきたタルトタタン。月子と哉太がおいしそうに食べていた。(もちろん、俺も美味かった。)それに、ちょっと嫉妬した。俺は、月子が美味しそうに食べるものは、全て俺が作ってあげたい。いや、作りたい。


「タルトタタンかぁ。同じものじゃ、芸がないよな…。」
レシピ本の“洋梨のアップサイドダウンケーキ”に目がとまった。
本格的なタルトタタンには劣るが、同じ系統のケーキだ。まずは、これから作ろうか。
流石に本職のケーキ店に、同じタルトタタンでいきなり勝負は、厳しいものがある。これなら、作れそうだ。


「…よし!まずは買い出しに行くか。」

さぁ、今年もありったけの愛を込めて作ろうか。





*バレンタイン企画
手作りバレンタインは、彼しかいない!!
ということで、錫也にしました。他なら、誉さんとかかなぁ。
梓は何でも卒なく作っちゃいそうですけどね。

2011.2.14 ハッピーバレンタインv 綵