着々と進む世界征服(颯月) | ナノ
僕の彼女は、とても恥ずかしがり屋だ。
例えば、手を繋いだだけで、顔を赤くする。キスなんて卒倒してしまう勢いだ。それが可愛くて、つい苛めてしまうこともある。でもそれは愛あってのことだ。
問題はないだろう。

今だって、『キスしてほしい』と言っただけで、こんなにも顔を赤くして。


「どうしたのですか?キスの仕方が、わからないわけではないでしょう?」
「だ、だって。」
「僕たち、もう何度もしているのですから、恥ずかしがることもないでしょうに。」
「は、颯斗君!!」
「…おや、また顔が赤くなりましたね。」


また意地悪している。その自覚はあるのだ。
でも、この僕だけに見せる可愛い顔が、見たいのだ。いつでも。
そして、一生懸命僕の我儘に答えようとする。
彼女に愛されてるという実感がわくのだ。


「…目、とじて?」
「ふふ。はい、いいですよ。」

瞼を下せば、唇に微かな感触。
その瞬間、すかさず彼女の後頭部へ手を回し、続きを促す。
彼女の精一杯であろうキスでは、少し物足りない。


散々彼女の唇を堪能した後、わざと音を立てて離す。

「ふふ。焦点が合っていませんよ?大丈夫ですか?」
「も、う。颯斗君の、ばか。」
「心外ですね。そんなことをいう悪い口は、もう一度塞いでしまいましょうか。」



ここまで持ってきてしまえば、後は僕の思い通りだ。
そうやって彼女の世界を、僕の色に染める。
恥ずかしがりやな彼女が、
気を失ってしまうまで。