リトルレディ01 | ナノ
月子は、僕よりちょっと体温が高い。

「ふふ、子供みたい。」
「…もう!気にしてるのに。」
「ごめん。そんなにむくれないで。」

冗談めかして頬を膨らます彼女に、僕も笑いながら謝る。
そういう子供っぽい所も好きだよなんて言ったら、本当に拗ねちゃうからやめておこう。


こんな風に手を繋いで歩いていると、まるで恋人同士に戻ったみたいだ。僕と月子はれっきとした夫婦だけど、恋人の時とあまり変わっていない。それは僕たちが恋人同士と互いに実感できた時間が、短かったせいもある。最近変わってきたのは、僕の月子に対する夫としての責任感。あと月子の料理の腕前(これは取っても大きな進歩!)。


「…許してあげない。」
「どうしたら許してくれるの?」
「じゃあ、…あ。」

そう言って指をさした、赤い屋根の可愛いケーキ屋さん。

「ケーキ買ってくれたら、許してあげる。帰ったらおやつで食べよう?」
「ふふ、それいい考え!…でもこれじゃ、ご褒美だよ。」
「私は2つ。羊君は1つだけ!」
「えー、ずるいよ。月子。」

そんな風に笑いながら、ケーキを3つ買って歩いて帰る。
ケーキの入った箱を持って、ちょっと嬉しそうな彼女は、やっぱりちょっと幼くあどけない。繋いだ反対側の手は、やっぱり子供みたいにちょっぴり体温が高くて、なんだか可笑しかった。

「早く帰ろう、羊君。」
そう笑った彼女は、子供のように可愛かった。
リトルレディ