ハーブティーはいかが?01 | ナノ
羊君が自室にこもって、丸2日。何でも今週中に調査結果をまとめないといけないらしい。家にいるのに、まともに顔を合わせていない。寂しくても我慢していたけれど、そろそろ休憩が必要だと…。
突然 バタン! と音がした。音の発信源は、どうやら夫の部屋のようだ。
「よ、羊君?入るよ!」
慌てて中に入ると、机に伏せた彼の姿があった。
「…たくない。」
「だ、大丈夫?」
「働きたくない働きたくない働きたくない。もう文字見たくない。」
「…えっと…。」
近づいて、伏せている彼の真っ赤な髪をそっと撫でる。
すると少しやつれた顔をあげて、もっとと催促された。不謹慎だけど可愛いと思ってしまう。
「ちょっと休んだ方が良いよ。」
「んー…。でも早く終わらせないと、せっかく君とゆっくりしようと頑張った意味がないよ。」
まるでうわ言のように、“これ終わったらしばらく月子と一緒にゆっくりできるのに…”なんて言われたら、嬉し過ぎて何も言えなくなっちゃったじゃない。
「…やっぱり、もうちょっと頑張る。」
「無理しちゃだめだよ?」
「うん。だから充電しても良い?」
いつのまにか腰に手を回され、座ったままの彼に引き寄せられる。そのままぎゅっと抱きしめられた。
「2日ぶりの月子だー…。」
よし、と言って私から離れて彼はまたパソコンに向かった。
「あ、そうだ。これ終わったら何処か出かけようか?」
パソコンに向かいながら“あとで、一緒に何処行くか考えよう?”と言われた。
「ふふ、じゃあハーブティーでも入れて待ってるね。」
「Qui!楽しみにしてる。」
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