しあわせがよく似合います05 | ナノ
幼稚園に上がった娘とお菓子を作ることが、最近の休日。
料理は残念ながら私よりも誉さんの方が上手いが、幼馴染直伝のクッキーは美味しいと自負している。私の中では、一番得意かもしれない。

「きちんと1つになるまで、よーく混ぜて。」
「はーい。」
「上手に出来たら、パパと皆でお茶にしようね。」
「うん!わたし、お星さまのクッキーにする。」

私と誉さんの受け売りか、娘も星が好きだ。
今では3人で夜空を見上げては星座観賞をするくらいだ。そこで、神話や星座の位置いろんな話をする。それが何だか嬉しいと、きっと娘以上に思っている。

「ママ、和(のどか)じょうず?」
「うん、上手くできたね!じゃあオーブンに入れるよ。」


台の上には、沢山の星。薄さがちょっと違っているのは、御愛嬌。

「よし、じゃあパパ呼んできて。」
「はーい。」

元気良く台所をでていく娘の後ろ姿は、とてもウキウキしていた。思わず笑ってしまう。


しばらくして、クッキーが焼きあがった。それでも娘も誉さんもこない。
(…遊んじゃてるのかな。)

焼きあがったクッキーを皿に盛り、それを持って居間へと向かった。
日当たりのよい縁側にいるのが見えた。

「もう、2人とも焼け…。ふふ。」

声をかけようと近づくと、和は誉さんに、誉さんは柱に寄りかかって眠っていた。とっても幸せそうに同じ寝顔で。

午後の暖かい日差しと穏やかな2つの寝息。
愛する2人の寝顔、焼きたてのクッキーの甘いにおい。

ああ、本当に幸せだな。
こんな時、ふと思う。

「…もう少し、寝かせておこうかな。」