終わらない、夏の空13 | ナノ
終わらない、夏の空
「あ、四季君いた。」
「ん…。アンタ、どうした?」
「ふふ。ううん。きっとここでお昼寝してるだろうな、と思って。」
夏は暑いから、あんまり好きじゃない。
この木陰は風が通って、寝るのに丁度良い。俺は大抵そこにいた。
「よく、わかったな。俺がここにいるって。」
「いつもここで寝てるじゃない。すぐ分かったよ。」
「…そう。」
風が吹いて着き色をした彼女の髪が、舞った。それが何だか綺麗で、じっと見つめてしまう。
「でも、本当にいい風だね。お昼寝しちゃうのわかるなー。」
「じゃあ、…寝る?アンタも。」
白い腕を引っ張ったら“わっ”と言って、腕の中に入ってきた。ちょっと強く引っ張り過ぎた。彼女は、慌てて逃げてしまった、残念。
「し、し、四季君!」
「しー…。しよ?お昼寝。」
何か色々言っていた気がするけど、もう寝てしまおう。うん。
「もう、…あれ?寝ちゃったの?」
「おやすみ、四季君。」
眠りに落ちる前に聞いたのは、彼女のその一言。
どうか、目が覚めたとき、アンタが隣にいてくれますように。
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