星と月に願い事09 | ナノ
今日は1年で1番大切な、貴方が生まれた日。
僕は彼女と2人で帰り道を歩いている。空にはもう星が瞬いていた。
今日の終わりが近づいている。

「今日は今まで一番素敵な誕生日だった!」
「それは良かったです。会長と翼君と計画したかいがありました。」

生徒会室でサプライズパーティーを開いた。目に涙をためて、"ありがとうございます"と微笑んだ彼女を見て、僕まで嬉しくなった。言われてみれば、人の誕生日をきちんと祝ったのは、これが初めてかもしれない。

"何だ、嬉しくて泣いてんのか?"
"泣いて、ません。"
"書記、書記ー。俺この日のために『ビックリどっきりクラッカー』を"
"翼君、そんな得体の知れない物使わないで下さい。"

「本当に、忘れられない一日になったよ。ありがとう、颯斗君。」
「そう言って頂けて僕も嬉しいです。
…実は、僕からもう一つプレゼントがあるんです。」

そう言って、鞄から手のひらより少し大きい箱を取り出した。

「…開けても、いい?」
「ええ、どうぞ。」

プレゼント用に包装された箱を、彼女は丁寧に開けた。
包装を解く間、期待と不安で胸が煩かった。こんな感覚初めてだった。

「わぁ…、ピアノのオルゴールだ!」
僕がプレゼントしたのは、ガラスで出来たピアノ型のオルゴールで、横にあるねじを巻くと音楽が流れる。

「この曲、『星に願いを』?」
「はい。…この先月子さんが笑顔でいられますように、と
願わくば、その隣に僕がいられますように、願いを込めて。」
「…それで『星に願いを』なの?」

「…星と、月子さんに願い事、です。…気に入って頂けましたか?」
「うん、ありがとう。」


片手でオルゴールを大事そうに抱えて、もう片方の手を僕とつなぐ。

「このオルゴール、大切にするね。」

どうか、来年のこの日も、君の隣にいられますように。
隣で微笑む彼女に、切に願った。




月子の誕生日をお祝いできて嬉しかったです!
素敵な企画に参加させていただいて、ありがとうございました。
Happy Birthday!   

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