嘘にできない、愛してる。(颯月) | ナノ
ちっぽけな僕は、貴方に言ってはいけないんです。


「愛してる」、だなんて。

僕には貴方を捕えて、幸せにする自信なんてありません。
だから、自分のものに。なんて浅はかな考えもありません。


ただ、笑っていてほしい。
それだけなんです。



「…どうして泣くのですか?」
「颯斗君が、泣かないから。」



笑っていてほしいと願っても
泣かせてしまっている、この現状。


「お願いだから、私の、気持ちまでも否定してしまわないで。」

…止めてください。それ以上言わないでください。


「…好きなの、颯斗君。」




心の中で、何かが崩れそうだ。

人に好かれるはずのない僕。
嘘にしようとしていた、この気持ち。
叶うはずのない願い。

貴方に愛されたいという望み。


一気に僕の中を駆け巡った。


貴方を想うと、こんなにも、苦しい。

苦しいのは、嫌いだ。悲しいことには慣れている。
人に好かれることには、抵抗がある。


もう、大切な人を気づ付けたくはない。


嘘にできない、愛してる。

「僕は、貴方の気持ちを受け取ってもいいのでしょうか。」