夕焼けに染まるアカ(羊月) | ナノ
夕焼けの帰り道。彼の隣を歩く。

彼の赤い髪が揺れる。

それがとても綺麗で、思わず触りたくなった。





「夕焼けと、同じ色。」

「え、どうしたの、月子?」




さっきまで前を歩いていた彼が、私の方に振り向く。

(あ、羊君は瞳も綺麗な赤い色だ。)







じーっと、彼の瞳を覗き込んでいると、彼の顔が赤くなった。

「ど、どうしたの。じーっと見て。」

「ぇ、あ、ごめんね。なんか綺麗だなーって思って。つい。」







「ふふ。月子にそう言ってもらえると嬉しい。」













「僕も月子の瞳の色好きだよ。あと、髪の色も。

 まるで本物の月みたいだ。」







そっと、私の髪を手に取り、口づけを落とす。

羊君は王子様みたいなことを、平気でする。

だから、とっても心臓に悪い。













「ふふ、月子顔赤いよ?」

「…羊君のせいじゃない。」

「なら、もっと嬉しい。」













そう言って、彼が笑った。

また、赤い髪が揺れた。













(まるで星が瞬いているよう…。)

























きれい、キレイ、綺麗…。













欲しいなぁ。

























そっと、手を伸ばす。ちょっとだけ触れてみる。







彼の髪は、熱くはなかったのに

触れた手のひらが、すごく熱かった。

すこし、赤くなった。













(まるで、色が映ったみたい。)























夕焼けに染まった彼の髪が、一層赤く輝いた。




















fin.