今日も町は賑やか。ただ違う点があるとすればそれは「話」、あれ関連の「話」のおかげでここ最近は賑やか。







聞いたかいおめぇら
ああ…こえぇ話じゃねぇか…
また出たってよぉ…
その百足にかまれたら―








『―三日で死ぬ…ですか?』
「そうさ、即死って言う人もいるがなぁ…。兎に角草むらはあぶねぇらしい、」
『その妖怪、名はなんて言うんですか?』









―――





「先日の吉原での話じゃ。一緒に行った者なら知っておろうが、宴のさなか…」



大きな百足が出た。
「ちょっと殺して」「嫌よ」などと、これはよい怖がりよう。ワシはその様子を観察しとった。だが百足なんぞめずらしくもない。キャアキャアといって逃げるが、実際は大して女どもも怖がっておらん。つまらんのでワシはこう言った。

「そのムカデは<まんば百足>といってな…かまれれば毒がまわり即死んでしまうものぞ」


言えばたちまち女たちは血相をかえ逃げまわった。
その顔のおもしろきこと…

このまま終われば笑い話、だが…

かまれた女はみな死んだ。
猛毒にやられて…。







―――






「<まんば百足>と言うんだと。お嬢ちゃんも草むら、特に藤ヶ原、あすこら辺には気をつけな、いつ咬まれるか分かったもんじゃねぇからな」
『いつもいつもありがとう、おじいさん』





生まれた百足の子供はもう
普通の百足と見分けがつかないとか
ヒェー、増えんのかぁ!?






だーれがこんな変な話持ち込んだんだか。整理するこっちの身にもなって考えてほしいかも。
江戸はもっと楽しいところだったのにな〜。今じゃ<怪談>の話しか聞けないよ、全く…。




『藤ヶ原、か…』





恐怖で満たされた町


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