スキップ、たまにどっちの足を出していいか分からなくなって自滅する、私が思うに魔の移動方法。暗闇でやると自滅率は格段に上がる魔の移動方法。夜のスキップは絶対にしない方が良い、お勧めしない、断言する。

「女…か、」
『へ?』

なんか声したよね。しかも口調的に怪しげな…。口調で判断してしまうのも残念だけど事実そうなんだもの。てやっぱり予感は的中。暗いからよく見えないけど女の人の身体がいきなり鬼の姿になって気付いた時にはもうすぐ後ろに顔があった。

『ちょっ…私は美味しくないよ』

食べられると思ったから瞬時に逃走。でもそんな直ぐに撒ける訳ないよね。物語でもなんでもすぐ逃げ切れたらつまらないもの。今となってはつまらなくったって知ったことじゃないけど。

「うぃーぃぃ〜酔ぉっちまった―」

前方で粋な感じの人が見えてきた。発言通り酔っているらしい。「花の大江戸♪」とか言ってるし「ここは〜オレの街〜♪」なんて聞いた暁には完全に狂ってるとしか他に説明のしようがない。
確かにこの人囮に使えば逃げられるけどそんなんで手にした命生きてても罪悪感で私なんて半殺し状態になっちゃうし後味悪いし、要は私はそこまで非情じゃないし。

「楽しい時代じゃないですかぁー」
『逃げるよ』

初対面の人の胸ぐらつかんで急いで駆けていく。「お〜い、何してんでぃ」とかなんちゃら聞こえてくるけど呑気で良いもんだよ。状況を説明している暇がないから仕方ないけど少しは自分の足で歩けや。足の速さなら結構自信あるのにあんたのせいでスピード出ないじゃない。
お陰さまで鬼、どうせ今巷で話題の<鬼夜鷹>だと思うけどそいつに追い付かれた。未だ胸ぐらの彼はふらふらしててさ…、羨ましいよ、気持ちが動転しない点とか。

「あら、そっちのお連れは美男だこと。私と遊ばない?」
『((まずいよまずいよ…))』

「こんな夜に遊ぶってーのも粋なもんだぁ」

彼の酔いのテンションに最早ついてけないし寧ろついていく気もない。もう勝手にやってくれ。私はもう非情になります。<鬼夜鷹>に気付かれないように帰ろうとしたらノーマークの彼にちゃっかり肩を掴まれ阻止された。『私はもう無関係だ』と言いたい。
彼は<鬼夜鷹>の前までいくと、目の前の女が人間ではないと、妖怪だと知っていたのか刀を抜いて斬りつけた。『えええええ!!!!』て私叫んだよ絶対。酔ってなかったの!?てさ。
無論<鬼夜鷹>は抵抗するまでいかず肉塊になって地に散らばった。ああ、気持ち悪い。



泥酔野郎


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